──昆虫の大群が気象レーダーでとらえられる
昆虫の大群が気象レーダーでとらえられるという事象が、このところ相次いでいる。アメリカ国立気象局(NWS)ラスベガス気象予報事務所は、2019年7月27日、公式ツイッターアカウントを通じ、米ネバダ州ラスベガス上空で飛翔生物が気象レーダーに反射している様子を公開した。
■ バッタの大群に襲われるラスベガス
これらの多くは、アメリカ大陸の砂漠地帯で広く生息するトノサマバッタ亜科のパリッドウイングドグラスホッパーとみられている。
同時期には、ラスベガスのいたるところで、このバッタの大群が目撃されている。ラスベガスのカジノホテル「フラミンゴ・ラスベガス」の舞台で公演するコメディアンのナンシー・ライアンさんは、ホテルの外の照明に群がる大量のバッタを映した動画をツイッターに投稿している。
ネバダ州農務局の昆虫学者ジェフ・ナイツ氏が米CNNの取材に答えたところによると、このバッタは冬や春に雨が多いと個体数が増える傾向にあるという。ネバダ州では、2019年1月から5月までの降水量が年平均降水量の約2倍にのぼっており、個体群密度を緩和するためにこれらの大群が移動してきたのではないかとみている。
■ ロサンゼルス東郊の砂漠地帯を南下するてんとう虫の大群
2019年6月5日には、アメリカ国立気象局(NWS)サンディエゴ気象予報事務所の気象レーダーが、ロサンゼルス東郊の砂漠地帯サンバーナーディーノ上空を南下するてんとう虫の大群をとらえた。
サンディエゴ気象予報事務所の気象学者ケイシー・オズワント氏は、米公共ラジオ局(NPR)の取材に対し、「その日は概ね晴れで、雨や雷を予想していなかったので、非常に奇妙だった」と振り返る。気象レーダーでは、雨粒大の物体が大量に現れているにもかかわらず、実際、雨は降っていなかった。現地の気象予報士に確認し、その正体がてんとう虫の大群であることがわかったという。
■ イングランド南部を移動する羽アリの大群
英イングランド南部でも、2019年7月17日、雨粒ではない物体がイギリス気象庁の気象レーダーでとらえられた。羽アリの大群とみられている。
英BBCで気象キャスターを務める気象予報士のサイモン・キング氏は、「イングランド南部は晴れていたにもかかわらず、気象レーダーがわずかな降水を示した。通常の降雨に見られるものとは一致しないことから、降雨ではないと考えられる」と分析。「羽アリは雲底に向かって一定の高さで大気中を飛翔することから、その多くを気象レーダーがとらえてしまったのだろう」とみている。
昆虫の大群が気象レーダーに反応することで、天気予報に大きな影響が出ないことを望みたい。
2019-07-30 11:08:00Z
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190730-00010009-newsweek-int
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