北海道紋別市の川で1日、アイヌ民族の畠山敏さん(77)が、サケの捕獲は認められた先住権だとして、道の許可を得ずに儀式用のサケ十数匹を捕獲した。道職員が制止する場面もあったが、畠山さんは「サケ漁をするかどうかは自己決定権だ」として決行した。
4月に成立したアイヌ施策推進法は、アイヌを「先住民族」と明記。だが昨年8月、国連の人種差別撤廃委員会が日本に土地や資源に関するアイヌの権利保護を勧告したにもかかわらず、先住権は規定されなかった。
畠山さんは午前5時半ごろからアイヌの伝統的な丸木舟に乗り、前日に川に張った網にかかったサケの回収を開始。駆け付けた道職員は川岸から「違法な状態なので、やめてくれませんか」などとたびたび制止した。
これに対し、近くで見ていた先住権の専門家やアイヌらは「先住民族の漁は国際的に認められている。申請が必要なことがおかしい」「生活の権利を奪っておいて法律違反とは非常に勝手だ」と反論。畠山さんは漁を午前7時ごろに終えた。
畠山さんは「道からは歩み寄りも何もない。アイヌモシリ(北海道を指すアイヌ語)に土足で上がり込んできた和人には左右されない」と話した。1997年に司法の場で初めてアイヌを先住民族と認めた二風谷ダム訴訟で原告だった貝沢耕一さん(73)も様子を見ており「畠山さんは、自分のことだけでなくアイヌ全体のことを考えてやっている。すごい勇気だ」と激励した。〔共同〕
2019-09-01 02:31:00Z
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49276810R00C19A9000000/
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