【台北=伊原健作】台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が1日に新年の談話を発表し、(高度な自治を認めるとする)「一国二制度」について、「香港での政情悪化と政府の権力乱用を世界が目にし、信用は既に破産した」と述べた。中国は香港で適用されている同制度を台湾統一の際に使う意向だが、「台湾が受け入れるのは不可能だ」と強調した。
蔡氏は台北市の総統府で記者会見し、新年の談話を発表した。昨年1月2日に中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が演説で「(台湾との)平和統一に向けて一国二制度は最良の方法だ」などと述べたことに触れ、「民主主義と専制は同一国家内で併存できない」と改めて拒否した。
蔡氏は「中国が台湾を屈服・譲歩させるため武力威嚇や社会介入を強めている」と強調した。「台湾の主権を短期的な経済利益と交換することはできない」と述べた。
また中国の選挙介入などを防ぐ「反浸透法」が前日に立法院(国会)で可決・成立したことに触れ、「両岸(中台)間の正常な交流を阻むものではない」と理解を求めた。同法は中国を念頭とした「海外敵対勢力」からの指示などに基づく政治活動を規制する内容だ。対中融和路線の野党や中国寄りの台湾メディアが猛反発していた。
台湾では11日に総統選が迫る。選挙戦では与党・民主進歩党(民進党)から再選を目指す蔡氏が、ライバルの最大野党・国民党の韓国瑜(ハン・グオユー)氏をリードしている。香港の政情混乱を受けた対中警戒感の高まりが蔡氏の追い風になっている。
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2020-01-01 08:51:43Z
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