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Saturday, June 6, 2020

【書評】『いつになったら宇宙エレベーターで月に行けて、3Dプリンターで臓器が作れるんだい!?』 - 産経ニュース

 ■最先端科学皮肉り、学ぶ

 原題は「SOONISH」。直訳すると「もうすぐ来るっぽい」。まあ、これでは日本では売れないと思うので、邦題は苦心されたこととお察しいたします。人類の生活を改善するか、または、破滅へと追い込むであろう、鋭意発展中の10の技術を取り上げた本だ。

 商売柄、私もよく質問されるのだが、どうして人類は海外旅行感覚で、月や他の惑星へ旅行できないのか。とっくの昔に、アポロ計画で技術は確立されたはずなのに。本書は、その答えが「お金」にあると読み解く。約500グラムの物体をロケットで宇宙まで運ぶのに、だいたい100万円かかるというのだ。しかも、ロケットの重さの80%は燃料が占め、ロケット本体が16%。肝心の荷物や人間は4%しか搭載できない。何たる非効率!

 著者たちは、この重大な問題の解決策をあげてゆく。たとえば、ロケット本体の再使用、あるいは、巨大メガ・スーパーガン、そして宇宙エレベーター。

 私は個人的に宇宙エレベーターに1票を投じたい。まだ人類は宇宙エレベーターに必要とされる強度を持つ物質を手にしていないが、まあ、「現在可能な長さの2億倍長いナノチューブを作る必要がある」だけのこと。これは、もうすぐ来るっぽい。

 私がとりわけひきつけられたのが「発射体を宇宙へ放つことができる大きな銃」の研究開発にのめり込んだジェラルド・ブルのお話。この天才技術者は、目的を達するために手段を選ばず、国際的な武器売買にまで手を染め、イラクのフセインに近づき、そして…。

 この他にも、核融合や拡張現実(AR)やバイオプリンティングなど、さまざまな先端技術が俎上に載せられ、バッサバッサと切られてしまう。

 この本は、一般科学書であると同時に、大いなるブラックユーモアの書でもある。イラストだけ眺めていると、最初から最後まで科学を皮肉っているかのようだが、本文の解説は、論文にあたり専門家の話を聞いているらしく、きちんとしている。まあ、それでも、随所にブラックユーモアがちりばめられていますが。

 笑いながら科学技術の最先端を学びたい人にオススメである。(ザック&ケリー・ウィーナースミス著、中川泉訳、化学同人・2800円+税)

 評・竹内薫(サイエンスライター)

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