CD PROJEKT REDが手掛け、12月10日にようやくリリースされた『サイバーパンク2077』。リリースまでの紆余曲折に、リリース後も何かとニュースが絶えません。とはいえ、それらを差し引いても、本作が与えてくれるプレイ体験の密度は高く、寄り道無しで7時間ほどメインジョブを進めてようやくプロローグ終了……というくらいには内容がぎっちり詰まっていました。果たしてゲームという枠に収まるのかという疑問が湧くほどのエネルギーが満ち溢れていると感じます。
企画の趣旨
ところで、実は先日、わたし交通事故に遭いまして……状況としてはこちらの車がぶつけられた側で、幸い自他共に全く怪我のない物損事故。対応してくださったお巡りさんにも同情されるくらいにはアンラッキーなイベントでした。
ちょうどそんな時にプレイを始めていた『サイバーパンク2077』。箱庭ゲームではお馴染み、街を自由にドライブできることが魅力の1つで、時折発生するNPCの挙動不審が運転に緊張感を与えてくれます。そこで、再び事故に遭わないよう、今回の企画ではこのドライブに焦点を当て、イカれた未来都市ナイトシティでサイドジョブを受けつつ無事故無違反の安全運転を心がけようキャンペーンを行いたいと思います。
いくつかテストプレイしたのですが、車両系のジョブ「人間らしさ」から始まる連続ミッションは、なかなか今回の企画にあっていました。それぞれの目的地への移動ならびにミッション中は、当然車両を使用することになるため、道交法を遵守した走りを目指します(可能な限り)。さっそくやってまいりましょう。
本編開始
主人公のVがある日、愛車を拾いに駐車場へ立ち寄ると、珍しいことにデラマンの車両が停まっていました。デラマンとは全自動運転車両による運送事業を行う会社のことで、いわゆるハイヤーですね。
もう少しだけ説明すると、デラマンとはAIの呼称でもあり、彼が経営から各車両の運転まで全てひとつのネットワークで操作しています。モニターに映っている青白い顔をしたアバターがデラマンその人で、会社でありまた同時にドライバーでもあるということですね。とあるミッションではともに鉄火場をくぐり抜け、まさにVにとっては命の恩人とも言うべき働きをしてくれました。
そんな高級車が、こんな掃き溜めみたいな居住区に停まっているのは不似合いも良いところで嫌でも目を引きます。戯れにハッキング乗車を試みようとしましたが項目が表示されないので不可の模様。諦めてボロの愛車に乗り込みいざ発進……
しようとしたら、目の前のデラマンが突撃&当て逃げをしていきました。
グーッドモーニン、ナイトシティ!今日の事故件数クイズは手堅く30件!!そのうちひとつはこの俺だよってか!!!いったい何が起きたというのでしょうか。
助手席にいつの間にか座っているキアヌ・リーブス含めて状況がさっぱりです。
そんなこんなで、デラマンから事故処理のメッセージが届いたので、彼が待つ本社へやってきました。筆者はてっきり、AIとはいうもののデラマンには元となる人間がいて、彼の電脳を介して全車両のサービスを行っているという漠然とした認識でいましたが、どうやら元からAI自身が本体の様子。そんな彼の存在はプログラムなのか人間なのか曖昧で、法律に当てはめようとするといろいろ不都合があるため、今回の事故も穏便に済ませたいとのこと。こういうSFあるあるの哲学的トピックなのでこういう小ネタは個人的に大好きです。
彼の説明は続きます。今回駐車場で突撃してきた車両を含み、合計7台がコントロールを受け付けず野生化している模様。それら車両を連れ戻せば、賠償金とは別に謝礼も支払ってくれるそうです。何かと金のかかるナイトシティでの暮らしにはとても助かります。さっそく車両の捜索に向かいましょう。
自殺を試みるデラマン車両を止めろ!
失踪した車両を探して、位置情報を頼りに街をウロウロする我らが主人公V。荒くれ者が集まる街ナイトシティですが、現実とは違い、きちんと車線と制限速度を守ってさえいれば、事故には巻き込まれません。むかし筆者がアメリカで不慣れな生活をしていた頃、速度単位をキロメートル毎時と勘違いして、お巡りさんに叱られた記憶が。というか今回キーボード操作で走らせている分、ピーキーなステアリング感度のせいで、むしろこちらがやらかす可能性のほうが高いくらいです。繰り返しになりますが、ゲームの中でもご安全に参りましょう。ステアリングを握る手にも力がこもります。
ところで少し気になるのが、この信号機。
Vが近づくと、青から黄色を挟んで赤に切り替わるタイミングでも強制的に青に戻るため、今のところ、走行中ブレーキを踏む時はせいぜい減速くらいでほぼ停止せず街を流しています。このシステムは是非とも現実世界にも導入してほしいですねえ……。
たまに、敏感なステアリングのせいで段差を乗り上げたりしつつも、失踪したデラマン車両を発見。ウィルスか何かの影響でしょうか、この個体は自殺を考えているようです。車に搭載されたAIが自我に目覚めたものの、精神的にも物理的にも人間として社会に参加できない現実に絶望し自殺を試みる……改めて哲学的な問いを投げかけられている気がします。SF作品においてはお馴染みと言えましょう。
川に飛び込もうと車輪を進める彼をなんとかなだめすかして説得できました。
しぶしぶ元の場所に戻りますよ、と返事をもらったところでジョブ完了……いや、このデラマン戻る戻るとは言いつつ車が一切動く気配を見せませんね。ちょっと心配になったので軽く小突いてやりましょう。
そら、軽く小突いt…………。
……………。
暴走するデラマン車両を止めろ!
気を取り直して次の車両は、最初に駐車場で突撃してきた荒くれ個体。清く正しく美しくをモットーに道交法を守っている主人公Vと筆者を尻目に、急制動Uターン逆走と好き放題しています。道交法を舐めた太い輩ですな。このままでは損害賠償金が膨れ上がり、デラマン本体が大変な不利益を被ってしまいますし、何より愛するナイトシティに暮らす皆さまが危険にさらされてしまいます。我々の手で止めてやりましょう。緊急時ですので、多少無茶な運転をしても、身内殺しでない限りNPCDはきっと許してくれるはず。
見つけました、荒くれデラマンです。しかも路上に突っ込んで歩行者に被害が及びそう!ええい、ままよ!!
……おっといけない本音が。
体当たりで動きを封じられてもなお、ホイールをスピンさせてまで逃れようとする荒くれデラマン。大丈夫……落ち着いて……我々は敵ではなく味方であることをショットガンの引き金を絞りながら諭すように伝えてあげます。良かった、止まりましたね(息の根が)。ジョブ完了。
NPCの珍プレー好プレー
おかしい……誰よりも安全に気を配っているのに、立て続けに『デストラクション・ダービー』みたいな展開になる……。(編注:『デストラクション・ダービー』には銃はありません……!)いやきっと気のせいですね。今回こそ安全と安心を野生化デラマンにお届けしましょう。
……しかし先程からずっと待っているのですが、前方の車列が動く気配を見せません。渋滞でしょうか?ここで周囲把握のためカメラをTPSモードに切り替えて確認すると……、
なにやら見えない壁でもあるのか、先頭車両が停止したまま微動だにしません。信号機もない場所です。流石に何度か軽くクラクションをならしますが、全く反応なし。これは一体どういうことか。このサイバーパンク世界でハッキングでも受けてしまったのでしょうか。もしそうなら大変です。
人命救助を建前に先頭車両ドライバーの顔を拝みに参りましょう。
物凄い眼力で睨み返されました。お待ち下さいご婦人。我々は決して、昨今問題として取り上げられているようなアオリ=ドライバーなどではありません。ただ何もない場所で停まったまま動かない貴方の御身を案じているだけです。
……だからなぜそんな、まるで私を危険人物かのように見るんです?
ショットガンによる説得でも解決の糸口が見えなかったので、おとなしく自分の車に引き上げることにします。こうなったら車両レーンの間を通り抜けるしかないと振り返ると……、
まるごと消えとる!?
鬱々としたデラマン車両を送り届けろ!
さすが何でも有りのナイトシティ、通りすがりの一般市民でさえ忍術の使い手とは恐れ入った。あそこで無駄に時間を使わされましたが、改めてはぐれデラマンを探して回収しましょう。
……なんか墓場近くの環状交差点を鬱々と回り続ける個体を発見しました。本社に戻ろうにも、人間恐怖症に陥っており運転にすら怯えている様子。自動制御の車両AIがドライブを嫌がるとか、これもし乗客いたらどうなってたでしょうね……。
ともあれここ我々が日頃の感謝を込めて代行サービスをしてあげるターンです。大丈夫!大丈夫!安心安全ドライブで絶対にぶつけませんから!
……ぶつけはしないとは言ったが、ぶつけられないとは言わなかった。
車線を変えようとしたら左から失礼とばかりにトラックがごつん。
詰め寄るVに怯えた様子で詫びる運転手。よくよく冷静に思い返せば、道を間違えたからと言ってウィンカーも出さずに急なUターンかましたのはVで、どう転んでもこちらが悪い気がしないでもありませんが、キアヌ・リーブスが身体を乗っ取ろうとしていたということで、むしろ被害者。セーフ。
なにはともあれ無事に本社ガレージに送り届けることができました。
どんどん出てくるデラマンくるま
安全運転を心がけるほどに周囲の環境が全力で阻止しにやってくる……ナイトシティに潜む見えない意思の力を感じます。こちらはご覧の通り、ナビゲーションを頼りに進んだところ廃棄処理場のゴミ山に突っ込まされた図。道なき道を進むんだV!安全運転がどうとかいうレベルじゃない!!
でもいるんですよこの先に野良デラマンが。
この悪の大幹部みたいなデラマンはVの名前を呼びかけて車内に乗るよう促してきます。しかも会話を重ねるほどに「AIが人類社会に反旗を翻すぞ!」めいた怪しい空気を彼から感じます。
ジョブはクリアしたもののVが言う通り不穏な予感が拭い去れません。どうしたものか。
……………。
…………………………。
正義は、なされた。
いやほんとにジョブを進める程にどんどん個性的なデラマンが出てきます。
こちらは自滅してひっくりかえるデラマン。
こちらは傑作パズルFPS『Portal』からGLaDOSの台詞をそのまんまパロっているポータルマニアのデラマン。なおこのあと機械信仰者たちとの激しい銃撃戦。
こちらはフラミンゴに怯えるデラマンのために、人様の庭にある置物ミンゴを殴り壊してまわるはめになった狂人V。
おわりに
なんとか全てのジョブを完了させました。ねぎらいの言葉をかけてくれるデラマン本体もどこか微笑んでいるようです。今回のサイドジョブを通じて筆者が思ったのは、この街で安全運転というかまともに暮らすのは無理だ!ということ。時には、むしろこちらから殴りかかってるフシもありましたが、基本的には被害者でした。
ともあれ今回のジョブ達成の御礼として、デラマンは事故で大破したVの車両を修理してくれました。しかし気になるのは、車両は最初記事最初の方の画像のようにボッコボコだったのですが、事故直後に呼び出したら新品同様の姿になって現れたこと。お、ラッキーと思って全ジョブずっとそれを乗り回していましたが……、
もしかしてこれって代車だったんです?かなりの頻度で大破させてしまいましたが……!?
デラマンの瞳の闇に吸い込まれそうな恐怖が背筋を撫でつつ、今回の記事をここで終わりたいと思います。皆さんも、暴走AIと奇行と忍術を繰り出すNPCが集うナイトシティで是非安全運転でドライブを楽しまれてください!
2020-12-31 03:00:06Z
https://news.google.com/__i/rss/rd/articles/CBMiN2h0dHBzOi8vd3d3LmdhbWVzcGFyay5qcC9hcnRpY2xlLzIwMjAvMTIvMzEvMTA0OTgyLmh0bWzSATlodHRwczovL3MuZ2FtZXNwYXJrLmpwL2FydGljbGUvMjAyMC8xMi8zMS8xMDQ5ODIuYW1wLmh0bWw?oc=5
No comments:
Post a Comment