車種別・最新情報 [2021.09.29 UP]
ノア大特集 フルモデルチェンジはいつ? 歴代モデルをおさらい
文●大音安弘 写真●トヨタ
ファミリーカーの大定番として高い人気を誇る5ナンバーサイズのミニバンたち。その代表的な一台が「トヨタ ノア」だ。その原点は、トヨタのワンボックス「タウンエース」にある。タウンエースは、乗用車の「ワゴン」と商用車の「バン」と基本構造を共有してきた。そのため、1996年に登場した最後のタウンエースのワゴン仕様となる「タウンエース ノア」までは、FRレイアウトを採用していた。しかし、タウンエース ノアは、衝突安全性の向上を目的に、短いボンネットを備えたセミキャブオーバー構造に変更。現在の「ノア」シリーズに繋がるミニバンデザインとなった。
この記事の目次
ファミリーユースを意識したミニバン専用設計
2001年11月に登場した初代「ノア」は、従来のFRプラットフォームから、FFプラットフォームへと変更。商用仕様も非設定となることから、タウンエースの名が外れ、単に「ノア」を名乗るようになった。これは低床フロアで大成功を収めたホンダ ステップワゴンや、その後を追い、FF化を図った日産セレナを追従するためであった。新世代への切り替えを伴い、姉妹車だった「ライトエース ノア」は、「ヴォクシー」へと名称を変更。さらにダイハツ版となる「デルタワゴン」は消滅してしまった。
カローラ店専売車である「ノア」は、幅広いファミリー層を意識したオーソドックスな横基調のグリルを備えた優しい顔立ちに仕上げられていた。その低床ミニバンのスタイルは、現在にも受け継がれるものだ。新開発FFプラットフォームを採用し、フラットなフロアを実現。最低地上高440mmに抑え、地上高390mmのステップを設けることで乗降性を向上させた。さらにロングホイールベース化を図ることで、5ナンバーサイズながら、ゆとりある車内空間の確保も大きな特徴だ。キャビンは全車が8人乗りとなり、2列目は、ベンチシートと回転式シートの選択が可能で、シートレイアウトの自由度も備えていた。フロントシートは、左右独立シートとインパネシフトの組み合わせで、後席へのウォークスルーを実現。センターメーターレイアウトの採用も新たな取り組みであった。
高剛性ボディと新開発サスペンションの採用で、操縦安定性、走行安定性、乗り心地を高いレベルでバランスさせたとし、シートも全車に疲れにくい大型シートを標準化するなど、週末を楽しむファミリーたちの快適さを重視した作り込みも図られていた。パワートレインは、1本化され、ガソリン直噴仕様の2.0L直列4気筒DOHCエンジンと4速ATのみで、4WDも選択できた2004年8月のマイナーチェンジでは、内外装の小変更に加え、トランスミッションを全車CVTに変更。さらに2列シート車の5人乗り仕様も新設定されている。この初代は、ノアと姉妹車「ヴォクシー」合わせて累計販売が約80万台となるヒット作となり、「ノア/ヴォクシー」の方向性を1世代で確立させた。
使いやすいサイズを維持しつつ機能性を向上した2代目
第2世代となる「ノア」は、2007年6月にフルモデルチェンジ。大成功を収めた初代の魅力を受け継ぎつつ、時代に即した機能性の向上が図られた。エクステリアは、よりボクシーなスタイルとなり、頼りがいと広さ室内を強調。使い勝手の良い5ナンバーサイズを維持しながらも、エアロを装着したドレスアップモデル「Si」と「S」のみ、エアロボディにより僅かに全幅が拡大したため、3ナンバー車となった。ノアのフロントマスクは、先代同様に横基調のグリル付きのオーソドックスなデザインが踏襲され、親しみやすいキャラクターに仕上げられていた。
シートレイアウトは、2列5人乗り、3列の7人乗りと8人乗りと充実しており、3列目シートは世界初となるワンタッチで折りたたみと跳ね上げまでを可能とした「ワンタッチスペースアップシート」やセカンドシートに外側に横回転する機構を備えることで乳幼児の載せ卸を容易にする機能を採用するなど、細やかな改良が加えられている。運転席周りは、ウォークスルーを可能とするインパネシフトを継承。エアコンやナビゲーションシステムの位置をより前面に配置することで、操作性の向上を図っていた。
パワートレインは、2.0Lエンジンを新開発のものに変更。さらに最上級グレード「Si」では、吸気バルブリフト機構を加えた「バルブマチック」仕様を採用し、高性能化。トランスミッションは、CVTとなるが、Siのみは、7速スポーツシーケンシャルシフトとなり、パドルシフトによるギアコントロールが可能となった。2010年4月の改良では、バルブマチックエンジンと7速スポーツシーケンシャルシフトが全車に拡大へ。シートアレンジの変更などの改良も実施された。しかし、2010年の最大のトピックは、ミニバンのスポーツモデル化という大胆なモデルの追加である。それが同年6月に投入された「G SPORT(G’s)」シリーズだ。エアロモデルの「S」と「Si」をベースに、専用デザインの前後バンパーとグリルなどでスポーティな外観に仕上げ、エクステリアもスポーティな仕立てに変更したものだ。見た目だけでなく、メカニズムにも手を加え、ボディの溶接個所拡大による剛性強化やスポーツサスペンションやデュアルスポーツマフラーなどを採用し、性能の向上も図られた本格派であった。さらに一歩踏み込んだ内容の上級仕様としてSiをベースとした「G’s Version EDGE」も用意するなど、本気で走りのミニバンに鍛え直すことに取り組んでいた。2011年5月には、早くもG‘sシリーズの一部改良を実施するなど、トヨタの本気が伺えた。このミニバンのスポーツモデル化は、この後、ミニバンのスポーツモデルという新ジャンルの拡大に繋がっていくことになる。
より上質に高級感をアップさせた現行型
2014年に登場した3世代目となる現行型ノアは、5ナンバーのファミリー向けミニバンというキャラクターを継承しながらも、より上質な存在が目指された。グリルが大型化され、プチアルファードのような高級感を匂わせつつも、ノア伝統の親しみやすさを崩さないように配慮されており、他のトヨタ車のような押し出し感は薄い。
プラットフォームも大幅改良を実施し、ダッシュパネルより後方のボディ骨格を一新。さらなる低床化を実現し、クラストップレベルの広さを持つ室内空間やステップレスのスムーズな乗降性など機能性を高めている。またホイールベースの拡大により、後席の膝まわりや全高の拡大を図るなど、移動中の快適性の向上も図られた。
最大のポイントは、ハイブリッド仕様の初設定だ。3代目プリウス譲りの1.8Lハイブリッドシステムを搭載し、走行性能と燃費を向上。2.0Lのガソリン車も設定されるが、販売の主力は、エコでお財布にも優しいハイブリッド主導に切り替わっていく。また走りの面では、低床化フロアの採用に合わせ、フロントサスペンションの最適化と新設計のリヤサスペンションの採用。さらにボディ剛性能向上を図るスポット増しや床下のブレースの追加。空力特性の最適化なども実施。これらのチューニングには、走りのミニバン「G‘s」での知見も反映されていた。
もうひとつの大きな変化は、2016年1月の改良で先進安全運転支援機能を採用したことだ。当初は普及型仕様となる「トヨタセーフティセンスC」を一部グレードのみ標準とし、オプション扱いとしていたが、現在は、トヨタセーフティセンスに名称を統一し、全車に標準化されている。
ノアの走りを鍛える役目も担う「G’s」は、3世代目でも遅れて追加され、2016年4月に設定。エアロ仕様の最上級グレード「Si」をベースとし、その内容は2代目のG‘s EDGEのようなコンプリートカーと仕上げられた。2017年9月には、マイナーチェンジのノアをベースに仕上げられた「GR SPORT」に進化している。因みに、歴代モデルではG’sとGR SPORTはガソリン仕様のみとなるが、これは重さを嫌っただけでなく、ハイブリッド化による価格高騰を避ける狙いもあった。
2022年のフルモデルチェンジが噂されるノアと姉妹車ヴォクシーだが、現時点では詳細は明かされておらず、新たなチャンネル対応のために、現行型で新たな姉妹車として誕生したエスクァイアの2021年12月上旬の生産終了がアナウンスされている。これは現在のトヨタでは、全店舗で全車種扱いとなっているため、不振のエスクァイアの統合を早めたということなのだろう。それを踏まえ、ノアとヴォクシーを含めた同時の生産終了発表でないことも、年内ではなく、来年のフルモデルチェンジを予測させるところだ。初代で築いた価値を3世代で磨き上げてきたノアだけに、先進機能やハイブリッド、プラットフォームなどの全方位での進化の為に大きなメス入れが期待される。現時点での現行型の販売も悪くはなく、さらに半導体不足などの生産への影響を鑑みれば、早急な動きがマストともいえないのではないだろうか。とにかく今は続報を待つしかない。
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