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Thursday, September 30, 2021

「いつ脱北する?」北朝鮮が住民も幹部もハマる“占い”根絶へ全面闘争…知られざる“北の占い事情” - www.fnn.jp

北朝鮮では社会秩序を乱すとして占いが禁じられているが、最近、北朝鮮当局は占い根絶のための全面闘争を宣言した。根絶しようとする背景には、社会にある根深い占いの浸透があった。

FNN記者のイチオシのネタを集めた「ネタプレ」。今回は韓国・ソウル支局の仲村健太郎記者が「北朝鮮の幹部もハマる超高額占い」を伝える。

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占いが違法…“脱北占い師”を直撃

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
私たちが入手した北朝鮮の内部資料です。人々を思想精神的に変質・堕落させる迷信行為=占いを徹底的になくそうと書かれています。北朝鮮当局はこの夏から占い根絶のための全面闘争を宣言しました。こうした文書を使っての思想教育や取り締まりの強化に乗り出したのです

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
そもそも北朝鮮で占いは違法行為です。内部資料によると最長で10年の懲役刑が科されます。しかし占いがなくならないために今回、全面闘争に乗り出したようなのです。私たちは今回実際に北朝鮮で15年にわたり占い師をしていた、脱北者のイ・イェジュさんにお話を伺いました

脱北者の占い師 イ・イェジュさん:
(占い師が)監獄に連れていかれるのをたくさん見た。(占いを)間違えると通報される、裏で詐欺を働いてお金を受け取ってると。それがとても怖くて脱北しようと思い、33歳の時に逃げた

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
イさんは生年月日と生まれた時間をもとに占います。日本で四柱推命と呼ばれる占いとよく似ていまして、これが北朝鮮でポピュラーなんだそうです。北朝鮮ではほかにも手相、タロット、霊媒師による占いもあります。ただこれ違法行為ですので、すべて占い師の自宅などで占います

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
イさんの場合は占い師だった叔父から譲り受けたという占いの本を使っていたそうなんですが、その本が当局に見つからないよう、普段から朝鮮半島ならではのある場所に隠していたそうなんです。それがこちら、キムチを漬け込む壺の中なんです。占いの本を袋に包んだ上でキムチの中に紛れ込ませていたということで、それだけ当局の摘発を恐れていたということなんです

占いで数万人が「同日同時刻」に結婚式

加藤綾子キャスター:
そこまでしないといけなかったっていうことなんですね。北朝鮮のお客さんってどんなことを占ってもらうことが多いんですか

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
占いの内容についてなんですけれども、まず新たに始める商売の相手が信用できるかだったり、結婚に関する相談も多かったそうです。こうした内容は日本の占いでも多いかと思いますが、北朝鮮の結婚の占いは皆さんがこぞって縁起の良い日「吉日」を占ってもらった結果、実に数万人が同じ日の同じ時刻に結婚式を挙げたというエピソードもあります

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
北朝鮮では厄除けに関する相談も多く、下着と鶏の足を風呂敷に包んで道端に置けば「拾った人に悪運が移る」というちょっと怖い占いもあったそうです。イさんがストーカー被害に悩む女性から相談を受けたときには「相手の靴を屋根の上にばらまけば離れていく」とアドバイスしたといいます。さらに北朝鮮ならではの内容として「いつ脱北するのが良いですか?」という、脱北の日程を尋ねる命がけの切実な相談もあったそうです

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
占いへの依存は一般市民に限ったことではありません。取り締まる側である当局の幹部もハマっていたことがわかりました。イさんをよく訪ねた幹部の奥さんは「夫はいつまで今の役職で働けますか」「子どもが不倫したことを隠し通せますか」といったことを、かなり切迫した様子で聞いてきたそうなんです。幹部すら粛清されるリスクにさらされていますので、占いにすがりつく人も多いんです

幹部の占いで100万円相当の報酬も

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
ここでご紹介したいのが占いの料金です。北朝鮮の相場ですが、2019年時点では100円~500円程度だったそうです。イさんの場合は現金の代わりにトウモロコシなどの食料を対価として受け取ることも多かったそうですが、お客さんが幹部になるとまったく異なりまして破格です。なんと最高で約100万円相当の現金を一度で受け取ることもあったそうなんです。幹部の“口止め料”としての意味合いも込めて、これだけ超高額な報酬を支払うのです

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
禁じられている占いが北朝鮮で浸透している背景ですが、韓国政府系のシンクタンクは「北朝鮮は宗教を実質的に禁じているため」と分析しています。1990年代に「苦難の行軍」と呼ばれる大飢饉が発生した際、餓死者が相次ぐなど社会不安が広がったのですが、不安の受け皿となる宗教がなかったために人々が占いにすがるようになったというんです

FNNソウル支局 仲村健太郎記者:
もともと禁止されていた占いについて北朝鮮が改めて全面闘争宣言を出したということは、制裁やコロナによる社会経済情勢が非常に厳しくなっていることの表れであって、社会不安を一掃できない金正恩総書記の焦りが透けて見えます

イット!のスタジオでは…

加藤綾子キャスター:
仲村さんどうもありがとうございました。経済が厳しくなってくるとその不安が占いにも流れてくるということなんですかね

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
先行きへの不安があるから占ってもらいたいということだと思うんですよ。それが広がっているということは北朝鮮の社会の中に相当不安が広がっている。占い師が占った通りに行動しようとすれば、リポートにあった通り、同じ日の同じ時刻に結婚式を挙げる。もし占い師が「今の体制を倒した方が幸せになりますよ」なんてことを占ったらどうなっちゃいます?

加藤綾子キャスター:
大変なことになる

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
ね。歯止めがかけられない。体制側にしてみれば社会不安が体制批判につながらないようにっていう。そこの歯止めをかけたいという思いが、浮き彫りになってあぶりだされてきているように見えますね

(「イット!」9月30日放送より)

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からの記事と詳細 ( 「いつ脱北する?」北朝鮮が住民も幹部もハマる“占い”根絶へ全面闘争…知られざる“北の占い事情” - www.fnn.jp )
https://www.fnn.jp/articles/-/246774

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