気象庁の「噴火警戒レベル」の引き上げの難しさが浮き彫りになった噴火や司法判断が先月、相次いだ。同庁は桜島(鹿児島県)の噴火の規模を予測できず、住民は夜中の避難を強いられた。一方、御嶽山(長野、岐阜県境)の噴火を巡る訴訟では、判決でレベルを上げなかった判断が違法と指摘された。予測に限界があるなか、夏山シーズンが本格化しており、同庁は登山前に警戒情報や装備品を確認するよう呼びかけている。
「事前にレベルを引き上げるには基準を大きく下回っていた。予測は難しかった」。先月24日夜に記者会見した同庁の中辻剛・火山監視課長はこう振り返った。
同庁は噴火警戒レベル3(入山規制)だった桜島が爆発的に噴火した午後8時5分の45分後、最高の5(避難)へ引き上げた。
噴火前には前兆現象が確認されていた。マグマの上昇などに伴って山が膨らむ「山体膨張」で、18日から緩やかに進んでいたが、噴火1時間前から急激になって噴火に至ったという。
同課の担当者は「今回のような急激な膨張は桜島ではよくある。この段階でレベルを上げれば1年間に何度も避難を呼びかけることになり、合理的ではない」と説明した。同庁は27日夜、レベルを3に戻したが、当面警戒が必要だとしている。
一方、死者・行方不明者が63人に上った2014年の御嶽山噴火を巡る訴訟の判決では、長野地裁松本支部が先月13日、噴火警戒レベルを上げなかった同庁の判断を違法だと断じた。ただ、レベルを上げても被害を防げたとはいえないとし、遺族らの損害賠償請求は棄却した。
からの記事と詳細 ( 前兆あっても「いつ噴火」は予想困難…「1年に何度も避難呼びかけ、合理的でない」 - 読売新聞オンライン )
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