<個体ごとに名前のような鳴き声が割り当てられているが、もっと原始的な方法も併用しているようだ>
水族館の人気者のイルカは、仲間を意外な方法で見分けているようだ。個体を認識する方法のひとつとして、尿の味を確かめているという。イギリス・スコットランドの海洋学者たちが実験を通じ明らかにした。
実験では複数のイルカの尿を提示したところ、仲間の尿にとくに強い興味を示す傾向が観察された。リゾート施設で飼育されているイルカに対し、長く一緒に暮らした仲間の尿とそうでないイルカの尿とを少量ずつプールに注入したところ、馴染みのある個体のものにとくに強い興味を示したという。
また、これと同時に名前でも判断を行なっているようだ。人間同士が名前で呼び合うのと同じように、イルカも「シグネチャー・ホイッスル」と呼ばれる固有の呼び名をもっている。実験では、尿と一緒にいずれかのイルカのシグネチャー・ホイッスルを聞かせたところ、尿の排出主とホイッスルが一致した場合にとくに強い反応を示した。
このことから研究者チームは、イルカたちが少なくとも味覚と聴覚を組み合わせた複合的な手法で仲間を識別していると考えている。
研究は英セントアンドルーズ大学・スコットランド海洋研究所のジェイソン・ブルック氏らのチームが進め、米科学振興協会によるオンライン・ジャーナル『サイエンス・アドバンシズ』に5月18日付けで掲載された。
広い海で、仲間の認識に活用
実験はバンドウイルカを対象とし、5年以上飼育下にあり仲間と一緒に暮らしている個体たちに対して行われた。事前テストとしてプールに氷を浮かべ、強い興味を示した好奇心旺盛な個体を選抜している。
実験本番では、選抜されたイルカたちを個別にプールに移し、尿20ミリリットルをランダムな順番でプール中に注いだ。すると、仲間の尿を注いだときは、まったく知らないイルカのものを注いだときと比べ、約3倍の時間をかけて調べる行動がみられたという。イルカの嗅覚はほぼ退化していることから、匂いではなく味に反応したと考えられる。
研究チームは、このように味覚によって仲間を判断することは、広い外洋で仲間をみつけるのにとくに有用だと考えている。海中で放たれた尿はプルームと呼ばれる煙のような塊を形成し、しばらくその場に滞留するためだ。
論文のなかで研究チームは、「たとえ鳴き声が確認できない場合でも、イルカたちはプルームを残した主を認識することにより、その個体が直近で近くにいたのだということに注意を払うことができる」と述べている。
問題はなぜ味を知っているのかだが、この点について研究チームは、イルカの好奇心旺盛で社会的な性質が影響していると考えているようだ。イルカは仲間の性器を口でつついてコミュニケーションを取ることがあり、これが味を認識する機会にもなっているのではないかと論文は述べている。
からの記事と詳細 ( 知りたくなかった......イルカはどうやって仲間を見分けているのか - Newsweekjapan )
https://ift.tt/ouCHadI
No comments:
Post a Comment