どうやって東アジアを平和と協力の地域にしていくか――日本共産党の提案(外交ビジョン)
(2022年1月4日、「党旗びらき」での志位和夫委員長のあいさつから)
それではどうやって東アジアを平和と協力の地域にしていくか。どんな国であれ覇権主義は許さないという立場に立ち、国連憲章と国際法という共通のルールにもとづいて、あらゆる紛争を平和的な話し合いで解決し、平和的に共存する道を追求する外交努力に徹する――このことが、いま強く求められています。
こうした道を一貫して追求してきたのがASEAN(東南アジア諸国連合)であります。ASEANは、紛争を平和的な話し合いで解決することを義務づけた東南アジア友好協力条約(TAC)を締結し、域内で年間1000回にも及ぶ会合を開くなど、徹底した粘り強い対話の努力を積み重ねることで、この地域を「分断と敵対」から「平和と協力」の地域へと大きく変えてきました。
日本で活動する私たちにとって重要なのは、ASEANが、こうした平和の地域協力の流れを、域外の諸国にも重層的に広げていくために一貫した努力を払っていることです。なかでも、ASEAN10カ国+8カ国――日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド、米国、ロシアによって構成される東アジアサミット(EAS)が、毎年首脳会議を開催し、この地域の平和の枠組みとして発展していることは、きわめて重要な意義をもつものであります。
ASEANは、東アジアサミット(EAS)を、東アジアの平和と協力の機構として強化していくために、一貫した努力を重ねていますが、その到達点として、私たちが注目しているのは、2019年のASEAN首脳会議で採択された「ASEANインド太平洋構想(AOIP)」であります。この構想は、東アジア地域の全体を、東南アジア友好協力条約(TAC)の「目的と原則を指針」として、「対抗でなく対話と協力の地域」にし、ゆくゆくは東アジア規模の友好協力条約(TAC)をめざそうという壮大な構想であります。視野を世界に大きく広げてみれば、希望ある平和の流れが、この東アジアで大きく広がっているではありませんか。
いま日本政府がやるべきは、破局的な戦争につながる軍事的対応の強化ではありません。ASEAN諸国と手を携え、すでにつくられている平和の枠組みを活用・発展させて、東アジアを平和と協力の地域にしていくための、憲法9条を生かした平和外交ではないでしょうか。すなわち、東アジアサミット(EAS)を、米中日を含む「対話と協力」のフォーラムとして強化し、あらゆる紛争問題を平和的な話し合いで解決する努力を積み重ねつつ、東アジア規模の友好協力条約(TAC)をめざすことであります。日本共産党は、そのための真剣な外交努力を、日本政府に強く求めるものであります。(拍手)
日本共産党は、昨年12月の常任幹部会でこうした提案を確認し、関係各国との対話を始めています。12月24日、笠井亮国際委員会副責任者がインドネシア大使館を訪ね、わが党の提案を伝え、たいへん良い意見交換ができました。12月29日、私は、ベトナム共産党のトゥオン書記局常務とオンライン会談を行う機会がありましたが、この場でもわが党の提案を伝えました。トゥオン氏は、ASEANの役割の重要性を強調しつつ、「域外のパートナー諸国との関係を重視していきたい」と応じました。こうした努力をさらに継続していきたいと考えています。
みなさん、「海外で戦争する国」づくりでなく、東アジアを平和と協力の地域にするための平和外交を――この訴えを、2022年、広げに広げようではありませんか。
ASEAN諸国と協力して東アジアを平和の地域に――日本共産党の「外交ビジョン」
(2022年参院選挙の分野別政策から)
東アジア規模の包摂的な平和の枠組みを提唱しているASEAN諸国と協力して
岸田自公政権や維新の会などは、「9条で平和が守れるか」などと言っています。しかし、政治の役割は、戦争を起こさないための外交に知恵と力をつくすことです。この役割を果たさず、何の外交戦略も持たずに、軍事一辺倒にのめり込んでいるのが岸田政権です。
いまASEAN(東南アジア諸国連合)は、ASEAN10カ国と日米中など8カ国で構成する東アジアサミット(EAS)を強化し、この地域を「紛争の平和的解決、武力行使と威嚇の放棄」の原則にそくして、「対抗でなく対話と協力の地域」にし、ゆくゆくは東アジア規模の友好協力条約を展望しようという壮大な構想――ASEANインド太平洋構想(AOIP)を明らかにしています。いま日本がとりくむべきは、紛争の平和的解決を安全保障の第一にすえ、ASEANの国ぐにと手を携えて、AOIPを本気で推進することにあります。
こうした日本共産党の「外交ビジョン」は、東アジア規模での集団安全保障の仕組みをつくりだそうというものです。軍事ブロックのように外部に仮想敵を設ける排他的な枠組みではなく、地域のすべての国を包み込む包摂的な枠組みをつくる――「対抗でなく対話と協力の地域にする」というところに、何よりもの重要な意義があります。
「力対力」の道では戦争を防げない――欧州の外交の失敗をアジアで繰り返さない
日本共産党の「外交ビジョン」は、ヨーロッパの教訓を生かす道でもあります。ヨーロッパでは、ソ連崩壊後、欧州安全保障協力機構(OSCE)というロシアと全ヨーロッパの国ぐにを含めた包摂的な枠組みがつくられ、OSCEを「紛争の平和的解決のための主要な機関」(1999年の欧州安全保障憲章)に定めました。しかし、この機能は生かされず、NATO(北大西洋条約機構)諸国もロシアも、軍事力によって相手の攻撃を「抑止」するという戦略をすすめ、「力対力」に陥ってしまいました。
ウクライナ侵略の責任は、あげて国連憲章をじゅうりんしたロシアにあり、軍事同盟の問題でロシアの侵略を免責することはできません。そのうえで、戦争という悲惨な結果になった背景には、「力対力」に陥った外交の失敗があったことを指摘しなければなりません。この失敗を東アジアで繰り返してはなりません。排他的な枠組みによる「力対力」に陥るのではなく、包摂的な平和の枠組みをつくり、それを安全保障の第一に位置づけて発展させることにこそ、ヨーロッパから引き出すべき最大の教訓があります。
自公政権や維新の会などは、「ウクライナを見ろ」といって、「日米同盟の強化」の大合唱をしていますが、これはヨーロッパで戦争が起きてしまった外交の失敗から学ばず、東アジアに軍事的緊張を激化させる、間違った道です。
ヨーロッパの失敗から引き出す教訓は、「力対力」に陥る軍事同盟の強化ではなく、地域のすべての国を包摂した平和の枠組みをつくることです。そのための憲法9条をいかした平和の外交こそ求められています。
―――紛争の平和的解決を安全保障の第一にすえ、ASEAN諸国と協力し、東アジアサミット(EAS)を活用・強化し、ASEANインド太平洋構想(AOIP)を本気で推進し、東アジアを戦争の心配のない平和と協力の地域にしていきます。
―――日本は、憲法9条を持つ国として、東アジアにおける軍拡競争を軍縮へと転換させるための、外交的イニシアチブを発揮すべきです。
(22年参院選分野別)
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