「72の法則」は、複利の魔法が投資の成長をいかに助けるかを示している。
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- 「72の法則」とは、投資がいつ2倍、あるいは半分になるかを見積もる公式だ。
- 「72の法則」では、72という数字を収益率で割ると、その投資(またはポートフォリオ)が倍になるまでの期間がわかる。
- この法則は複利にしか使えず、最も効果的なのは収益率が6~10%の場合だ。
投資の学習は手ごわいと感じるかもしれない。だが、その一歩を踏み出せば、自分で資産を形成する素晴らしい道が拓けるだろう。
投資について理解すべきことは多い。中でも、ポートフォリオを構築し始める時に、この先どのように資産が増えていくかを見通すことは重要だ。
では、簡単な式に数字を入力するだけで、投資がいつ倍になるかがわかるとしたらどうだろうか?
それがまさしく「72の法則」だ。この法則の仕組みと、投資を考える際になぜこの法則を覚えておかなければならないかを説明しよう。
「72の法則」とは?
「72の法則」とは、投資額が倍になるまでの期間を見積もる公式だ。
72という数字を、投資に対して毎年得られる利率で割ると、投資額が2倍になるまでの年数が導き出される。反対に、資産がいつ半分になるかを計算するのにも使うことができる。
ただし、この公式は複利にしか当てはまらない。言い換えれば、単利ではなく、複利で投資が増える場合にしか使えない。単利の場合、投資元本の金利を受け取って終わりだ。だが、複利の場合は「金利に対して金利」が発生する。つまり、元本に加えて受け取った利息収入にも金利が発生するのだ。
複利では原則として利息が元本に加わり、その金額が次の金利計算の基礎となるので、資産が飛躍的に増える。すなわち金利が発生し投資額が増えるにつれて、資産増加ペースが早まるのだ。
これは何も金利に限ったことではない。元本が増えるものなら何でも複利の恩恵にあずかれる。例えば、投資商品で受け取った配当を再投資すれば、収益は複利で増加する。つまり「72の法則」が当てはまるという訳だ。
一方、再投資せずに配当を引き出してしまえば、複利の効果を得ることができないので「72の法則」は機能しない。
「72の法則」の計算方法
「72の法則」では、72という数字を収益率で割りさえすれば良い。以下の数式に収益率を入力すると、投資が倍になるまでの期間を計算できる。例えば、年率の収益率を入れた場合、投資が倍になるまでの年数を割り出せる。
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上記の式で、通常のイコール(=)記号ではなく、ニアリーイコール(≈)記号が使われていることにお気づきになっただろうか。この公式は正確な数値ではなく見積りを示すもので、一般的に金利や収益率が6~10%の投資に使うと最も正確な数値が導き出せる。
「72の法則」は普通、投資が増える期間を見積もるのに使われるが、元本が保証されていない投資が半減するまでの期間を推測するのにも使える。例えば、「72の法則」を使って、インフレにより通貨の購買力が半分になるまでの年数を計算したり、ユニバーサル保険*の価値が半減するまでの年数を見積もったりできる。
*ユニバーサル保険:死亡保障部分と貯蓄部分が分けられており、貯蓄部分はその時のインフレ率を反映した利率が適用される保険
「72の法則」の計算例
1000ドル(約13万円)を収益率が年率9.2%の商品に投資したとしよう。実はこの数字は、過去10年間の株式市場の平均リターンである。「72の法則」で倍になるまでの期間を計算すると、計算式は次のようになる。
72 ÷ 9.2 ≈ 7.8
つまり、複利で増えると想定すれば、最初に投資した1000ドルが2000ドル(26万円)になるには約7.8年かかるということだ。1000ドルではなく1万ドル(約130万円)投資すれば、8年もせずに2万ドル(260万円)を手にできる。また、同じ収益率が続くと仮定すれば、その2万ドルが再びさらに倍になるのにはもう8年、つまり16年足らずで1万ドルが4万ドル(520万円)になることを意味する。
これらはこの間に投資額を追加しないことが前提と考えれば、複利の効果で10年以内に投資が倍になるという事実になおさら感動を覚える。
「72の法則」の別バージョン
72という数字は大半の状況において優れた推定値であり、簡単に割り切れる数字なのでシンプルな数式にうってつけだ。72という数字は金利や収益率が6~10%の場合に最も良く機能する。退職基金、証券口座、インデックス・ファンド、投資信託など大半の投資勘定のリターンがこのレンジに収まる。
だが、この金利や収益率がこのレンジから逸脱する場合は、少し公式をいじった方が良いかもしれない。同じ公式でも、割る数字を変えるのだ。経験則上、収益率が8%(「72の法則」が最もよく機能する理想的なレンジの中間)から3ポイントずつ動くごとに、72から「1」を加減すると良い。
例えば、超高金利の場合は、78という数字を使うとより正確な結果を導き出せるだろう。反対に、低金利や毎日複利の場合は、69や70といった数字が適切だ。投資の世界で毎日複利の商品はまれだが、高金利預金口座 や 譲渡性預金(CD)などの貯蓄商品でみられる。
まとめ
「72の法則」は、投資商品がどのくらい早く増えるのかを予想する迅速で簡単な方法である。最小限の労力でいかに早く資産を倍にできるかを示すことで、この法則は資産構築における複利の魔法を見事に表している。
からの記事と詳細 ( 「72の法則」で、あなたの投資がいつ2倍になるかを見積もろう - Business Insider Japan )
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