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Wednesday, August 30, 2023

原発処理水の風評被害、どうやって補償する?800億円の基金の ... - 東京新聞

 東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出で、風評被害による水産物の買い控えなどが懸念されています。政府は漁業者向けに計800億円の基金を設けて対応するとしていますが、不安解消につながるのでしょうか。(砂本紅年)

◆販路の拡大や新漁場開拓を支援

 Q 政府はどんな対策をしますか。

 A  2021年度の補正予算で300億円の対策基金を設けました。企業にある社員食堂への水産物の提供や販路拡大の費用を支援します。漁協などによる水産物の買い取りや冷凍保管などに必要な資金の借入金利、経費も対象です。

 22年度の補正予算でも、漁業者が漁業を続けられるよう支援するため500億円の基金を追加で設けました。新たな魚種や漁場の開拓に必要な漁具、漁船の燃料コスト削減などに対する費用を支援します。政府は必要に応じて、基金の積み増しなども検討していくとみられます。

 Q 実際に水産物の売り上げが減った場合などの補償は。

 A 東電が賠償金を支払います。賠償の対象は漁業のほか、農業、水産加工卸売業、観光業などが想定されています。水産物の価格や観光客数などのデータを確認し、風評被害が認められた場合、売り上げ減少分を損害額として算定します。

 Q 中国が日本産の水産物輸入を停止しました。外国の禁輸措置で生じた損害はどうなりますか。

 A 過去の国内外での取引状況を踏まえ、輸出における損害額を算定し、東電が「必要かつ合理的な範囲で賠償する」としています。

◆いつまで続く?認定の公平性は?

 Q 課題は。

 A 処理水の放出は数十年にわたり、影響はだれも予測できません。被害の認定を公平・公正に行えるか、補償の範囲をどこまで広げるかなど難しい問題が山積みです。

 岸田文雄首相は「処理水の処分が完了するまで責任をもって取り組んでいく」と強調しました。しかし、漁業関係者らの国や東電に対する不信感は根強いものがあります。9月に処理水放出の差し止めを求めて訴訟を起こす弁護団の広田次男共同代表は「『関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない』と再三言ってきたのにほごにした。国の言うことは信じられない」と批判しています。

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