佐賀県鹿島市沖の有明海で夫とノリ養殖を手がける女性が、黒く色付かずに廃棄されてきた「色落ちノリ」を利活用しようと取り組んでいる。佐賀は全国有数の養殖ノリ産地だが昨季は記録的な不作で、販売枚数、販売額ともに20季連続がかかった日本一を逃しており、「ノリ漁の可能性を広げたい」と奮闘している。(上本虎之介)
「これは高級な黒いノリではなく、世の中に出ていかなかったもの。でも実は栄養がたくさん詰まっています」
7月29日、同県嬉野市の商店街周辺で開かれた「うれしの土曜夜市」。色落ちしたノリを使ったふりかけ作りのイベントを開いた松本理絵さん(47)が、ノリの粉末を手に、訪れた客に説明した。
松本さんは各種イベントや小学校などで、色落ちしても活用の仕方があることや、ノリ養殖の現状を知ってもらう活動を続けている。この日、ごまやあられを交ぜてふりかけを作った40歳代女性は、「ノリの香りがしっかりして、おいしい。品質で劣るなんて信じられない」と驚いていた。
松本さんの活動の根底には佐賀県産の落ち込みの深刻さがある。
県有明海漁協(本所・佐賀市)によると、2022年度の販売枚数は9億820万枚、販売額は167億8625万円。いずれも1位だった兵庫県の12億8223万枚、221億5365万円に大きく水をあけられた。赤潮や少雨で栄養不足となって色素が十分に作られないことが色落ちの原因とされ、販売枚数はここ10年で最高だった14年度の半分以下となり、販売額も同じく最高だった16年度の7割弱に落ち込んだ。
鹿島市など有明海西南部は不作が続いており、松本さんの養殖ノリは21年度も多くが色落ちした。販売枚数は例年の6割程度まで落ち込み、夫の茂樹さん(56)と「どうやって生きていこう」とまで話し合ったという。
からの記事と詳細 ( 「色落ちノリ」鮮やか変身、パイやせっけんに…「どうやって生き ... - 読売新聞オンライン )
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