Bethesda Game Studiosが手がける『Starfield(スターフィールド)』のゲームレビューの採点を発端として、「レビュー点数に対する感覚」についての話題が盛り上がっている。同作に与えられた「7点」という評価をどう捉えればよいか、よくわからないというのだ。良くもなく悪くもない印象のある7点という数字をめぐり、SNS上などで多くの意見が寄せられている。
『スターフィールド』は、『The Elder Scrolls』シリーズや『Fallout』シリーズの開発で知られるBethesda Game Studiosが手がけるRPGだ。本作では人類が太陽系外に進出している2330年の世界を舞台に、プレイヤーは希少なアーティファクトを求める宇宙探検家集団コンステレーションの一員として、広大な宇宙の星々を冒険する。本作は同スタジオの完全新作ということで、長きにわたり多くのファンから多大な期待が寄せられていた。9月6日の発売を前にして、各メディアからはレビューが発表。メタスコア88を獲得するなど発売前から高評価を受けている。
そして、今回の一件の発端となったのは『スターフィールド』に向けて「7点相当」の点数をつけた各誌のレビューと見られる。『スターフィールド』に向けては、複数海外メディアが「100点満点中70点」といった評価を下したのだ。するとWindows Centralマネージング・エディターのJez Corden氏が、この点数に疑問を呈した。Corden氏は同誌にて『スターフィールド』をレビューし、点数としては90点と評価している。同氏はX(旧Twitter)にて「8点ならわかるが、7点はちょっと厳しすぎるのでは」と表明。これを受けてあるXユーザーが、「ゲームレビューの10点満点中7点という数字は、科学的にみんなの脳みそを破壊するようにできている(7/10, the video game review score scientifically designed to break everyone’s brains)」と発言し大きな反響を集めていた。そもそも7点が良い点数なのか悪い点数なのかなんともいえず、どう解釈すればよいのかわからなくなる、ということだろう。このポストが反響を呼び、ゲームレビューでの7点という数字をいかに解釈すべきか、X上で多くの反応が寄せられることになった。
たとえばある開発者は「5点を平均と考えた場合、7点という数字は良い数字のはずだ」と主張している。一方、「AAAクラスのゲームにあたえられる点数としては、7点は実質的に最低点」だと主張する者も。つまり「7点は良いか悪いか」で各ユーザーの意見が割れている様子だ。ほかにも、「7点とはレビュアーがスコアをつけたくないと思ったときにつける点数だ」とするユーザーや、「7点のゲームはあまり一般向けではないけれど、刺さる人には一生の友となるニッチ向けの印象がある」とするユーザーなども登場。7点という数字には、いろいろな印象をもつ人がいるようだ。
それでは、各メディアやプラットフォームはレビュー点数をどういった基準で捉えているのだろうか。米IGNの評価基準では、7点はGoodとなっている。プレイに時間を割く価値があり楽しめるが、同じ体験の繰り返しが多かったり技術的な問題があったりと、改善の余地が認められるゲームにあたえられるスコアである、とされる。「面白いが改善の余地もあるゲーム」といえば、多くのゲームにあてはまりそうな気もしてくる。そして、Steamユーザーレビューの表記においては、好評率が40%~69%だと「賛否両論」として黄色い文字表記となる(関連記事)。一方、70%を超えると「やや好評」として青い文字表記となり、80%を超えると「好評」となるなど、レビュー数と好評率によって表記は変化していく。なかでも、好評率70%がひとつの基準となっていることがうかがえる。点数に置き換えれば7点となり、Steamにおいてもちょうど賛否両論とやや好評の境界。好評に分類すべきかどうか悩ましいポジションにあるともいえそうだ。
メタスコアを提供しているMetacriticでは点数に応じて背景の色が変わる仕様となっており、75点以上で好評を意味する緑色の背景となる。70点では黄色の背景となり、これは賛否両論・平凡を意味する。メタスコアの基準では、70点は好評と呼ぶには物足りない点数ということになるようだ。ちなみに『スターフィールド』のPC版メタスコアは前述のとおり、本稿執筆時点で88と平均を大きく超える高得点となっており、無事緑色の背景を獲得している。
一方で、同サイトではゲームの評価点数にまつわる興味深いデータもある。ほかの媒体とゲームでは、背景色の基準となる点が異なっているのだ。映画・ドラマ・音楽のレビューでは、100点満点中61点以上で背景が緑色になる仕様となっている。ゲームのみ、点数の基準が引き上げられているかたちだ。MetacriticのFAQによると、媒体によって評価の基準が異なるのは、映画などのレビューとゲームレビューの慣習の違いに由来しているという。映画などは5点満点(5つ星)で評価されることが多く、平凡な作品には3点があたえられることが多いという。そのため100点満点に換算して60点を基準とし、それ以上の点数の作品を緑背景としているとのこと。一方ゲームは10段階ないし100段階で評価されることが多いという。また50点以下の低い点数がつくのは稀で、良い作品には70点台後半以上の点がつくことが多く、映画などとは評価方法が顕著に異なっている、としている。
Metacriticの統計データによると、2023年2月時点で、メタスコアの平均点は映画が約59.2点、ドラマが約65.1点、音楽が約73.3点、ゲームが約70.8点だという。先述の説明からするとドラマと音楽は高めに思えるが、映画の平均は60点、ゲームの平均は70点というのは説明に沿った傾向となりそうだ。このデータからすると、メタスコアのゲーム部門において10点満点中7点とは、ごくごく平均的な出来の作品にあたえられる評価と解釈できる。また50点未満の点数がつけられた作品の割合は、映画の約29.6%に対し、ゲームは約6.48%となっている。ゲームレビューにおいては、低い点数がつけられることは稀である、というのも確かなようだ。仮にゲームレビューが実質的に最低点5点から最高点10点の6段階評価で運用されているとすると、7点というのは真ん中より少し下、という評価になる。すごく悪いというほどではないが良いわけでもない。「ゲームにおける7点は良いのか悪いのか曖昧」という認識を強化するようなデータとなった。
各プラットフォームやメディアの基準と照らしあわせても、ゲーム作品における10点満点中7点は、好評と平凡の評価の境目、あるいは平均点そのものとして扱われることが多い。7点より高ければ、評価が高いゲーム。7点より低ければ、平凡あるいは問題があるゲーム。そうすると、7点ちょうどのゲームはどう評価すべきか。各プラットフォームの基準としても曖昧な境界上にあり、確固たる共通認識に欠けているだろう。
ゲームレビューにおいて7点という評価を見たとき、あなたはどんな印象をもつだろうか。ひょっとするとほかの人は、7点という数字にあなたとまったく違った印象を受けているかもしれない。なお余談ながら、作品名は挙げないものの「米IGNにおいて10点満点中3点、メタスコアでは73点」の作品を心から愛する筆者としては、X上のユーザー意見で見られた“7点のゲームはあまり一般向けではないけれど、刺さる人には一生の友となる”といった解釈に賛同する。レビュー点数にあまり頼りすぎず、一度作品に触れてみるのがよいだろう。そしてどうしても評価に困った時は、7点をつけるしかないかもしれない。
『スターフィールド』は、PC(Steam/Microsoft Store)/Xbox Series X|S向けに9月6日発売予定。Xbox/PC Game Pass向けにも提供される。また、Premium Edition以上のバージョンを予約購入したユーザーは現在アーリーアクセスでプレイ可能だ。
【UPDATE 2023/9/4 16:25】
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2023-09-04 06:53:23Z
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