最近、ノートPCやミニPCにおいて、CPUに「Intel Processor N100」(以降Intel N100)搭載するモデルが注目を集めている。なぜなら、このCPUを搭載するPCは非常に安価だからだ。 ノートPCなら10万円を切り、ミニPCであれば3万円ほどで買えてしまうものまである。
そんなIntel N100について気になってくるのが、実用に耐え得る性能を備えているかどうかだ。今回は3万円~5万円くらいで販売されているIntel N100およびN95を搭載するノートPCと、10万円ほどで売られている第12世代Core i5搭載ノートを用意して実用上の性能を比較することにした。
検証では、実際にWindowsと各種アプリを動かした様子を動画で掲載し、CPUごとのレスポンスの差を体感できるようにしている。Intel N100の実力が気になるなら参考にしてほしい。
Intel N100はどういったCPUなのか?
Intel N100は、第12世代Core「Alder Lake-S」で言うところの省電力な「Eコア」(Alder Lake-N)のみを搭載するCPUだ。つまり高性能なPコアが欠けている。
とは言え、現行世代のCPUコアなので、性能はバカにできない。 コア単体でのパフォーマンスは、たとえば4コア4スレッドのIntel N100が2コア4スレッドのSkylake(Core i3相当)に匹敵するとか、4コア8スレッドのSandy Bridge(Core i7相当)に匹敵するとか言われている。
ただし、SkylakeのCore i3に匹敵するにせよ、Sandy BridgeのCore i7に匹敵するにせよ、前者は8年、後者は12年前のCPUだ。慎重に検討してほしい。「○○をしようと思っていたのに……ダメじゃん」と失望することになる。
冒頭で述べた通り、検証にはCore i5(第12世代)とIntel N100/N95という3種類のノートPCを用意し、実際に動作させてその映像をキャプチャした。
なお、Intel N100とN95は、4コア4スレッド動作と共通で、動作クロックも同じ3.4GHz。内蔵GPUのクロックはN95のほうが1.2GHzで、N100の750Hzよりも高いが、実行ユニット数はN100のほうが8基多い24基といったように、GPU面での違いがある。
さて、今回作成したフローはWebブラウジング、ファイル操作、表計算、写真補正、映像編集の5つ。表計算以降のについてはブラウザで参考ページを開いたり、エクスプローラーからファイルを起動させたりと、アプリケーション単体ではなく実際に使うシーンに寄せている。
これら映像から処理速度を確認したり、各用途における向き不向きを把握したりしていただければ幸いだ。
使用したIntel N100/N95、Core i5のノートPC
今回使用した3台のノートPCを紹介していこう。
【Intel N100】CHUWI「GemiBook XPro」
Intel N100(Eコア4、計4スレッド)を搭載する14.1型ノートPC。ディスプレイ解像度は1,920×1,080ドット。直販価格で3万6,900円。メモリは8GB(シングルチャネル)でLPDDR5-4800、ストレージは256GBでSSD(SATA)を採用している。
定番ベンチマークの結果
それでは定番ベンチマークの結果を見ていこう。
まずはストレージ性能をCrystalDiskMarkで計測した結果だ。Intel N100(CHUWI GemiBook Xpro)は今回唯一のSATA 3.0接続なので当然遅い。リードで見るとシーケンシャルはCore i5(mouse F4-I5U01OB-A)の21%、もっとも速いIntel N95(BiTECOOL NC15N)の16%の速度でしかなく、ランダムも明確に劣っている。ライトについてはリードよりは差が小さくなるが、基本的には同様だ。
PCMark 10。OverallはCore i5だけが飛び抜けて5,397ポイント、Intel N100/N95の2台はともに3,000ポイント台なのでCore i5の56~58%のPC性能といったところ。Intel N100とN95の性能差は105ポイント程度でそれほど大きくはなかった。
PCMark 10でストレージ要因が大きいEssentialsシナリオのApp Start-upテストの結果は興味深い。CrystalDiskMarkのときとは様相が変わり、まずCrystalDiskMarkでは2番手だったCore i5がトップに、もっとも速いNVMe SSDを搭載していたはずのIntel N95が2番手、CrystalDiskMarkでは大きく引き離されていたIntel N100が僅差で3位だ。
App Start-upは実際のアプリケーションを起動して計測するテストだが、こうなるとストレージ性能だけではなく、CPU性能やメモリアクセス速度も関わってくる。Core i5がトップという点で、CPU性能がかなり重要だということが分かる結果だ。そのほかのテストも、基本的にCore i5がほかを大きく引き離す結果だ。
CPU性能はCinebench R23で見ておきたい。およそCPUスペックから予想される通りだが、Intel N100のほうが、Intel N95よりも若干高スコアだった。最大クロックはスペック上同等、TDPが低く設定されているIntel N100のほうが高スコアというのは意外だが、実際のTDPやクロックはそのPCの冷却性能や設定で変わってくるためこうした結果になってもおかしくはない。
結論:Intel N100/N95は実用的かつ価格が魅力
検証を終えた感想として、まずIntel N100/N95は想像以上に使えた。やはりAtomとは違う。クリエイティブ系アプリケーションや、ファイル操作の圧縮・解凍以外ならそれほど顕著な性能差にはならなかった。ブラウジングに表計算、これだけで足りるという方も結構多いのではないだろうか。 もちろんもっと使い込めば分からないが、なにしろ安い。ノートPC必要だけど予算が……と悩んでいる方にもよいだろう。まずは触れてみないことには始まらない。
Intel N100/N95を選ぶ際は、メモリ搭載量とストレージの速度に注意したい。 もともと現在の基準からすれば低性能のCPUである。すべてをケチると早々と不満が出てくるだろう。CPUをケチった分、ほかを(少し)贅沢にしてあげると幸せになれる。 メモリは16GBに、ストレージもそこそこの世代のNVMe SSDとしたほうがよい。
先の通り映像的にはIntel N100/N95で広範囲をカバーできそうな印象を受けてしまうかもしれないが、ことビジネスについては積極的にはおすすめできない。Excelもそこそこ動いているが、実際に用いるデータ量で試してみないことには判断できない。使っている関数やアプリケーションのバージョンによる問題もある。不確定要素があるなら素直にCore搭載PCを選んだほうがよい。
それにビジネスでは与えられたタスクに対して軽快にレスポンスを返してくれることも重要だ。ストレスはできるだけ少ないほうがよい。性能面での余裕も必要だ。アプリケーションは毎年のようにアップデートされ、利便性が増す代わりに処理が重くなることもある。ビジネスシーンで一番売れるのがCore i5(または「5」のグレードのCPU)となるのはちゃんとした理由があるのだ。
なお、最後にファイルの圧縮、解凍、トランスコードと、時間を計測した3つをピックアップしてCore i5を100%とした際のIntel N100、Intel N95がどのくらいの割合いかを計算してみた。
結果、Core i5に対して、Intel N100は68.5%、N95は71.%だった。PCMark 10のOverallは順に55.8%、57.7%なのでそれよりは差が縮まっている。ただ、さすが実アプリケーションを利用しているPCMark 10だけあって実運用に近いとも言える。ここで紹介した以外のPCでも、普段使い想定の性能比較をするならPCMark 10 Standardのスコアが最適と言えるだろう。
2024-02-29 21:01:00Z
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