今回はNEC PCから新登場した、Snapdragon 8+ Gen 1を搭載した8.8インチの小型ハイエンドAndroidタブレット「LAVIE Tab T9」を購入してしばらく使ってきたのでレビューします。
8GB/128GB版の「T0995/HAS」と、12GB/256GB版の「TAB09/Q01」の2種類あり、それぞれ税込98,780円と109,780円。いわゆるトンデモプライスとなっています。
いずれも直販サイトであるNEC Directのこちらのページで販売されており、12GB版はNEC Direct限定。
↓のように筆圧検知対応の純正ペンも発売されており、これも購入したので合わせてレビューします。
8インチのiPad miniサイズでハイエンドなAndroidタブレットというのは、レノボが中国で販売しているLegion Y700しかありませんでした。
が、ここにきてレノボ傘下のNEC PCから、Snapdragon 8+ Gen 1を搭載したハイエンド8インチ機が登場した形。
もちろん↓のように原神も快適プレイできます。CLIP STUDIO PAINTの動作確認済み機種となっていて、3ヶ月無料特典も付いています。
結論から言いますと、これから見ていくように8インチタブレットとしての出来映えは素晴らしいです。
ただ、5万円のLenovo Legion Y700と中身がほぼ同じで、それに搭載されていた便利機能や良好な使い勝手がそのまま搭載されているということですから、10万円では不満点も多く出てきます。
レノボのタブレットは価格も素晴らしいことが少なくないのですが(高いこともありますが)、本機は2年型落ちのSnapdragon 8+ Gen 1搭載で10万円はさすがに高すぎます。
iPad miniが64GBで直販価格78,800円〜(実勢最低売価7.2万円ほど)なので、せめて6万円台ないしそれ以下、どんなに高くともiPad mini未満には抑えないと、私のような使命感で買う人以外に買ってもらうのは厳しいでしょう。
実際、AliExpressでは中国ROM版がこちらの公式ページで5万円ほどで売られていますし、中国版に自分でROMを入れるのが面倒な場合も、グローバルROMを入れたバージョンもこちらのページなどで6万円ほどで売られています。
本機が出てなお、「ハイエンドな8インチ小型タブレット、何を買うべき?」と言われれば、秒で「iPad mini6」と即答せざるを得ないのが苦しいところですが、とりあえず「LAVIE Tab T9」見ていきましょう。
外観とスペック
まず同梱物を見ておきます。本体のほか、USB-Cチャージャー、USB-Cケーブル、microSDスロットピン、マニュアルが入っています。
本機の中身は使えば使うほど”レノボのタブレット”ですが、NECらしいポイントが3つあります。LAVIEのロゴ、分厚いマニュアル、変なプリインアプリです。
もちろんマニュアルは日本語。
チャージャーは最大68.2wです。
チャージャーには↓のように68の文字が。裏返すと89に見えるので微妙なのですが、昨今のレノボのチャージャーによくあるデザインです。
本体は↓のようにベゼルも狭めで画面も発色良好です。
スペックは下記の通り。
- SoC:Qualcomm SM8475P(Snapdragon 8+ Gen 1)
- GPU:Adreno 730
- RAM:8GB LPDDR5x
- ストレージ:128GB UFS
- 拡張ストレージ:microSDカードスロット
- ディスプレイ:8.8インチ(2560×1600)
- 輝度:500ニト
- リフレッシュレート:144Hz
- カメラ:リア13MP+2MP、フロント8MP
- バッテリー容量:6,550mAh
- センサ:加速度、磁気、照度、近接、ジャイロ、ホール
- スピーカー:ステレオ(Dolby Atmos対応)
- サイズ:129.5×208.5×7.6mm
- 生体認証:顔
- その他:防水非対応、GPS非対応
GPSアンテナは入っていませんでした。NECブランドで10万円で出すのであれば、せめて防水やGPS、指紋認証あたりには対応してほしかったところです。”Legion Y700そのまんま”感が強まります。
USB Type-Cポートは2つついています。USB3.2 Gen2 Type-CとUSB2.0 Type-Cで、前者は映像出力対応で、充電は両方からできます。
背面は↓の通り、LAVIEロゴと2眼カメラ。
縦向きに持って左側面(横向きで底面)には1つめのUSB-Cポート。こちらがUSB3.2 Gen2です。なので、外部ディスプレイ出力時はこちらのポートを使います。
底面にはスピーカーともう一つのUSB Type-C。
左側面には音量・電源ボタン。
上部にはスピーカー穴です。
メタル筐体は高級感があります。片手でグリップできるこのサイズ感が、8インチタブレットの魅力です。
重量は実測で349gでした。iPad mini6のWi-Fi版が293gなので、それよりも50gほど重くなっています。ただ、特に「重いなあ」とは感じません。
純正ペンを詳しく見てみる
つづいて純正ペンを見ていきましょう。直販価格税込11,880円の「LAVIE Tab デジタルペン3」です。
ペンには、↓のように替え芯が2本とマニュアルが同梱されます。
濃いグレーで、↓のように溝がついています。頭の方に見えるのは充電用のUSB Type-Cポート。
溝がついているので、AppleやSamsung、Xiaomiのタブレットペンと同じようにタブレット本体にマグネット装着して自動で充電・ペアリングしてくれそうなものですが、マグネット装着もそれによる充電も自動ペアリングもできません。これまたいまいち。普通にBluetoothでペアリング作業が必要です。
ペン先の方にはボタンが1つついています。
重量は実測で13gでした。
筆圧検知対応なので、描く強さによって線の太さを変えられます。
初めて使用する時は、ペンのUSB Type-Cポートから充電します。すると頭の部分の白いランプが光り、ペアリングできます。
Galaxy Tab S9などと同じく、ペン用メニューアイコンが画面端に表示されていて、タップすると↓の右端のようなメニューが表示されます。
ペンの機能はシンプルで、手書きやスクリーンショットのほか、ペンのボタンを押しながら画面タップでノート作成ができます。また、ペンを置いたままにして本体を遠ざけると警告を表示してくれる機能もあります。
ペンのボタンはリモコンとして利用できます。
リモコンの機能は、まず↓のようにスライドショーの送り・戻り。
また、音楽の再生・停止、曲送り・曲戻し。
動画再生では、再生・停止、動画送り・動画戻し。
カメラは、シャッターのほか動画撮影開始・停止、カメラモード切替え、リア・フロントカメラ切替など。
リモコン機能が充実していることもあり、ペンを使っての操作は慣れるとそこそこ便利です。
ただ、繰り返しになりますが本体にマグネット装着できないため、持ち運んで使おうという気になりにくいのが残念です。
Lenovo Legion Y700との比較
つづいて、本機の元になっているであろうレノボの「Legion Y700」と筐体を比べてみます。
これまで購入したY700がSnapdragon 870版のみで、本機の元になっている最新のSnapdragon 8+ Gen 1版ではありません。(8+ Gen1版であればさらにそっくりの外観になっています。瓜二つ)
まずディスプレイはベゼルや表示の品質などよく似ています。
背面パネルやカメラバンプは大きく異なります。縦の長さも、本機の方が数mm長いです。ただ、8+ Gen1版のY700は、カメラバンプ含め本機と同じサイズのようです。
厚みもほぼ同じ。
底面のポート位置やスピーカー位置も同じです。
サイドのポートは、本機にのみついています。
上部のスピーカー位置は同じですが、本機はSnapdragon 870版のY700についていた3.5mmイヤホンジャックがついていません。
電源・音量ボタンの位置もほぼ同じです。
厚みは、Y700が実測7.7mmに対し、
本機が7.2mmなので、若干ですが本機の方が薄くなっています。
iPad mini6との比較
つづいてiPad mini6と筐体を比べてみます。
↓のように本機はAndroid機らしく縦長です。ベゼルの太さは、左右は本機の方が薄くなっています。
背面は↓の通り。
厚さは、iPad mini のほうが若干薄くなっています。
実際の使い勝手
本機の初期設定を終えてデフォルトで表示されるホーム画面は↓の通り。
2ページあり、左にスライドすると↓になります。こちらはNECっぽいプリインアプリが並んでいます。
プリインアプリは↓の通り。
設定画面は↓の通り。画面だけ見ると完全にレノボのタブレットです。
横向きにすると、↓のように2ペインになります。カテゴリごとに分かれていて見やすいです。
リフレッシュレートはデフォルトでは自動切り替えで、↓のように最大144Hzまで固定にもできます。
↓はデイリーガジェットを表示したところ。文字サイズなどもちょうど良い塩梅。
↓はYouTubeの16:9動画を再生しているところです。
ゲームを開始すると、↓のように左端にアシスタントが表示されます。
普段は↓のようにとても小さく表示されていますが、
これを右に引き出すと↓のメニューが表示されます。ここで、パフォーマンスの切り替えや通知OFFなど、よくあるゲームサポートの機能が並んでいます。
外部ディスプレイ出力が秀逸
本機の2つのUSB-Cポートのうち、一つは外部映像出力に対応していますので、↓のように外部ディスプレイに映像を出力できます。
投影モードは2種類。タブレットと同じ画面を写すミラーモードと、画面拡張のExtended Modeです。
Y700そのままの機能ですが、Extended ModeだけY700ままの英語表記になっています。翻訳し忘れでしょうか。
設定アプリの「追加の接続」>「プロジェクション」から、外部出力周りの設定ができます。
拡張モードの場合、↓のように本機を仮想のタッチパッドとして使うこともできます。
2本指で右クリック、スライドでスクロールなど、よくあるタッチパッド操作ができます。外部ディスプレイ側には、マウスカーソルが表示されます。
モードは設定アプリから切り替えられるのと、
拡張モードの場合は↓のようにディスプレイの位置関係を選択できます。このあたりも含めて、全体的にY700です。
ベンチマークスコア
最後にベンチマークスコアを見ておきます。
Geekbench 6のスコアは、シングルコアが1,835pts、マルチコアが4,473pts。
GPUスコアは5,926ptsです。
参考までに、最近レビューした機種のシングルコア・マルチコアスコアは↓の通り。
- UNISOC T606(Alldocube iPlay50 mini):379/1372
- Snapdragon 680(Redmi Pad SE):419/1453
- UNISOC T616(Headwolf FPad3):453/1545
- Helio G99(Alldocube iPlay50 mini Pro):708/1867
- Helio G99(Blackview A200 Pro):732/2049
- Helio G99-Ultra(POCO M6 Pro):733/1977
- Snapdragon 695 5G(dtab Compact d-52C):882/1966
- Dimensity 7050(Lenovo Tab P12):954/2353
- Snapdragon 870(Xiaomi Pad 6):1304/3289
- Snapdragon 870(Lenovo Legion Y700):1306/3507
- Google Tensor G2(Pixel 7 Pro):1341/3044
- Apple A12 Biocnic(iPad mini5):1343/2973
- Snapdragon 8+ Gen 1(Zenfone 9):1809/4559
- Snapdragon 8+ Gen 1(Lavie Tab T9):1835/4473
- Snapdragon 8 Gen 2(Xperia 1 V):2023/5235
- Apple A15 Bionic(iPad mini6):2067/4894
GPUスコアは下記の通り。
- Snapdragon 680(Redmi Pad SE):346
- UNISOC T606(Alldocube iPlay50 mini):448
- UNISOC T616(Headwolf FPad3):506
- Helio G99(Alldocube iPlay50 mini Pro):1272
- Helio G99(Blackview A200 Pro):1305
- Helio G99-Ultra(POCO M6 Pro):1305
- Snapdragon 695 5G(dtab Compact d-52C):1346
- Dimensity 7050(Lenovo Tab P12):2335
- Snapdragon 870(Xiaomi Pad 6):3274
- Snapdragon 870(Lenovo Legion Y700):3365
- Google Tensor G2(Pixel 7 Pro):4464
- Snapdragon 8+ Gen 1(Lavie Tab T9):5926
- Snapdragon 8+ Gen 1(Zenfone 9):6136
- Snapdragon 8 Gen 2(Xperia 1 V):7138
- Apple A12 Bionic(iPad mini5):8,863
- Apple A15 Bionic(iPad mini6):19373
原神はデフォルトで画質「中」となっています。
ストレージ読み書き速度は↓の通り。特にシーケンシャルリードはかなり高速です。
レノボのタブレット。出来映えは素晴らしいが高すぎる
以上、「LAVIE Tab T9」を見てきました。
結論は冒頭に書いたとおりで、8インチタブレットとしての出来映えは素晴らしいです。これまでにないハイパフォーマンスな8インチAndroidタブレットですし、ディスプレイ表示品質やサウンド、筐体のクオリティ含めてハイエンド機ならではの完成度です。
一方で、本機はほぼLenovo Legion Y700 2023そのままということもあり、5万円のY700なら許せても、10万円というプライスでは不満な点も数多く出てきます。
たとえばGPS非搭載、防水非対応、ペンとのペアリングや充電、マグネット装着ができない、指紋認証非対応、SIM非対応などなど。
設計を根本的に作り替えるのは開発コストから無理かもしれませんが、たとえばゲーミングを訴求するなら本機専用の着脱式ゲームコントローラーを出すとか、純正ではどのメーカーも出していない8インチ向けの日本語キーボードケースを出すとか、(プリインアプリを増やすのではなく)何かしらY700にはない付加価値があっても良かったのに、と思いました。
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