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Saturday, March 2, 2024

量子の世界で起きる「不思議すぎる現象」…そこからホーキングが思いついた「あまりにも天才的なアイデア」(片山 春菜,畠中 憲之) - 現代ビジネス

量子の世界で起きる「不思議すぎる現象」…そこからホーキングが思いついた「あまりにも天才的なアイデア」(片山 春菜,畠中 憲之) - 現代ビジネス

量子の世界で起きる「不思議すぎる現象」…そこからホーキングが思いついた「あまりにも天才的なアイデア」(片山 春菜,畠中 憲之) | ブルーバックス | 講談社(1/2)

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2024.03.03

# 電気回路 # ブラックホール # 物理学

かつて、「永遠に思えるブラックホールもやがて質量を失い、最後には蒸発するだろう」とホーキングは予言し、物理学界に衝撃を走らせた。ただ、その観測は長いあいだ困難を極めていた。その新たな可能性を切り拓くのが、「人工ブラックホール」を用いた検証である。

本連載では、その研究の最前線で世界的な注目を集める物理学者の2人、片山春菜氏(広島大学助教)と畠中憲之氏(広島大学教授)にその意義を解説してもらおう。

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そもそも「量子」とは?

さて、ホーキング博士が考案した、 「ブラックホールに量子効果を導入する」というアイデアは、 具体的にどういうことでしょうか。これを理解するために、量子効果について簡単に触れておくことにしましょう。

原子や電子などのミクロな世界では、私たちが日常生活で経験することとは大きく違うことが起きています。実際、粒子だと思っていた電子は波のようにふるまい、波と思っていた光は粒子のようにふるまいます。

ミクロな世界では、粒子と波という全く異なる概念が融合し、お互いに補っているようなのです(相補性)。つまり、日常生活における直感はまったく通用しません。このような世界を記述するのが「量子力学」です。量子力学では、粒子と波の性質を同時に持つこと(粒子・波動二重性)が前提となっていると覚えておいてください。

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この前提は、量子力学が教えてくれる結果は「確率的」で「不確定」なものであるという結論にも結びついていきます。私たちが日常的に経験する物理(古典力学)は、ニュートンの運動方程式によって記述されます。そこでは、物体がどのような運動をするかは物理法則によって決まっていると考えられます。

しかし、量子の世界で起きる物理現象には、同じ条件だったとしても、 物理量を観測するたびに異なる結果が与えられます。本質として確率的にふるまうと言っていいでしょう。その確率は、量子力学を支配する方程式である「シュレディンガー方程式」によって決められます。

シュレディンガー方程式のすごさ

シュレディンガー方程式は、オーストリアの物理学者エルヴィン・シュレーディンガーが提唱したもので、さまざまな波の現象の記述に用いられる「波動方程式」を基本としながら、 そこに粒子・波動二重性を反映した特異な方程式です。したがって、その解は、粒子の存在する可能性(確率)が、波として広がったものになっています。

エルヴィン・シュレーディンガー(1887~1961)

この広がりは、粒子的視点からの位置と運動量に不確定さを導き、古典力学と違って、両者を同時に確定することができなくなります。これは「不確定性原理」と呼ばれ、量子の世界と古典力学の世界を分ける最も重要な原理です。ミクロの世界の不思議な現象を引き起こす起源とも言えるでしょう。

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2024-03-02 21:00:00Z
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