4月から医療従事者以外も対象になる新型コロナウイルスワクチンの接種体制について、東京23区と首都圏1都6県の16政令・中核市の9割が、診療所などの個別接種と公共施設などでの集団接種を併用することが分かった。本紙が各自治体に対応方針を取材した。個別接種を軸に、カバーできない分を集団接種で補う「練馬区モデル」が広がっている。一方で国のワクチン供給スケジュールは不透明で、担当者らは「必要なのはワクチンがいつ、どれだけ届くのかだ」と気をもむ。
◆「ワクチンの量が分からないと予定立てられず」
「何カ所の会場と何人の医師を確保するのか。何人の接種の予約枠を設定するのか。ワクチンの量が分からないと予定を立てられない」。品川区は個別と集団接種を併用する方針だが、割合をどうするのかは決められないでいる。
先月24日、政府は4月1日開始を目指していた65歳以上の高齢者への接種開始を、同12日に遅らせた。しかも各都道府県へのワクチンの当初配分は1000~2000人分にとどまる。
4月1日開始の想定で準備を進めていた横浜市は、93万人の高齢者がいる。「問い合わせや予約の集中を避けたい」と、3月下旬から年齢の高い順に接種券を発送し、段階的に予約を受け付ける方針だった。担当者は「ワクチン供給量によっては対応を見直さないといけない」と話す。
◆個別接種用に300カ所の病院・診療所確保
本紙が調査した39自治体のうち、34自治体が個別接種と集団接種を併用するが、組み合わせ方はさまざまだ。
千葉市は「かかりつけ医が(持病など)接種を受ける人の状況を把握している」として、個別接種用に市内300カ所の病院や診療所と人員を確保し、集団接種会場は1カ所とする方針。
川崎市のように個別と集団の併用に加え、高齢者施設などへ医師らが出向く巡回接種を組み合わせる自治体も多い。今回の調査の対象ではないが、東京都調布市は高齢者の集団接種で接種を受ける人が予診、接種、接種後の待機と会場内を移動するのでなく、医師や看護師が会場内を動く方式で効率化を図る。
集団接種のみを予定する八王子市は、理由を「ファイザー製ワクチンは扱いが難しいので、最初は集団接種だけで対応する」と説明。他社のワクチンが出回ってきたら個別と併用する。
◆保管用の冷凍庫配備が課題に
個別接種会場が増えると、ワクチンの保管が課題になってくる。ファイザー製ワクチンは国内では零下75度での保管が前提で、冷凍庫から出してからの輸送に時間はかけられない。
さいたま市はワクチン保管用の冷凍庫を、区役所や市内56カ所の基幹病院に1台ずつ配備。基幹病院から近隣の診療所など3~5施設にワクチンを運び、個別接種で1ロット(975回分)を使い切る。
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