Pages

Tuesday, June 29, 2021

「いつ使うか分からない刀を研ぐ」 自衛隊・第一線救護衛生員の訓練 - 毎日新聞 - 毎日新聞

「第一線救護衛生員」の訓練は、スモークや大きな音などで心身に大きな重圧がかかる環境の下で行われる=東京都世田谷区の陸上自衛隊衛生学校で2021年4月26日、西夏生撮影
「第一線救護衛生員」の訓練は、スモークや大きな音などで心身に大きな重圧がかかる環境の下で行われる=東京都世田谷区の陸上自衛隊衛生学校で2021年4月26日、西夏生撮影

 「いつ使うか分からない刀でも、常に研いでおく必要がある」。そう語ったのは自衛隊幹部だ。有事の際、前線にいる隊員が銃器や爆発物で瀕死(ひんし)の重体となる事態に備え、自衛隊が「第一線救護衛生員」と呼ばれる専門人材の養成と技能の向上を続けている。養成は2017年度に始まり、今年で5年目を迎えた。過酷な前線を模した環境の下で行われる訓練に迫った。

   ◆   ◆

 作りものと分かっていても、生々しさに思わず息をのむ。爆発に巻き込まれた自衛隊員という設定の人体模型。右膝から下はなく、傷口からは血が流出する。周囲はほぼ真っ暗。映画で戦闘機が飛び交い、銃撃戦が行われるシーンを想像させる音が鳴り響く。実用的な能力を身に付けるため、心身に大きな重圧がかかる環境を作り出した。

 東京・世田谷の陸上自衛隊衛生学校。庁舎3階「シミュレーション・ラボ」には視覚や聴覚、集中力を妨げるさまざまな仕掛けが備わる。訓練はこのラボで定期的に実施している。4月下旬。各部隊で指揮官の補佐役を務める隊員を対象とした研修で訓練が披露され、その現場を取材した。

   ◆   ◆

 「状況開始」。司会役の隊員のかけ声で一帯に白い煙が立ち込めていく。今回の訓練に臨むのは田代優貴2曹。17年度に認定された第一線救護衛生員だ。衛生学校の教育活動をサポートする衛生教導隊に所属し、訓練を何度も経験している。

 第一線救護衛生員は、自衛隊が東京と大阪に開設した新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターでも活動している。医師免許を持つ「医官」と看護師免許を持つ「看護官」、准看護師が業務にあたっており、准看護師の中に第一線救護衛生員も含まれる。

 訓練は居合わせた別の隊員のサポートを得て、瀕死の大けがをした仲間を助ける――との設定だ。…

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 「いつ使うか分からない刀を研ぐ」 自衛隊・第一線救護衛生員の訓練 - 毎日新聞 - 毎日新聞 )
https://ift.tt/2UMW3Vr

No comments:

Post a Comment