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Friday, October 29, 2021

別姓選べる日いつ 当事者もどかしく 自民党と他党の違い鮮明|あなたの静岡新聞 - @S[アットエス] by 静岡新聞

 31日に投開票を控えた衆院選で、導入に慎重な自民党と他党の違いが鮮明になっている「選択的夫婦別姓制度」。多くの政党が関連施策を公約に盛り込んだことを「前進」と受け止める評価もある一方、自民党内で議論が進まない現状に、制度実現を望む当事者はもどかしい思いを抱える。

夫婦別姓を望んだため、事実婚を選んだ小野美智代さん、福島宏太郎さん夫婦。自立した対等な関係は「お互いの誇り」という=24日、三島市内
夫婦別姓を望んだため、事実婚を選んだ小野美智代さん、福島宏太郎さん夫婦。自立した対等な関係は「お互いの誇り」という=24日、三島市内

 三島市在住のNGO団体職員小野美智代さん(47)は、夫婦別姓を望んだため事実婚を選択し、16年目。富士市の旧家の長女で、「男兄弟がなく、小野姓を継ぐのは自分だと思って育った」。個人事業主の夫福島宏太郎さん(47)は当初「それなら自分が改姓する」と提案したが、小野さんは「名前が変わる負担を負わせたくない」と断った。
 福島さんには弟がいることもあり、2人の娘は小野姓を名乗る。親子関係を出生時から法的に明確にするための胎児認知など、子どもへの配慮は欠かさなかったが、「別姓はメリットこそあれ、不都合は何もない」。自立して生きることを尊重し合い、お互いそのことを誇りにしている。
 だが長い目では不安もある。「どちらか働けなくなっても扶養に入れない。相続の問題もある」。別姓で可能なら法律婚を望むが、「家族を壊す」といった反対論に、「実現は遠い」と期待は薄い。
 厚労省の統計では、結婚後に夫の姓を選んだ夫婦は96%(2015年)。女性が結婚後も婚前の姓を使用したい場合、改姓した上で、通称として旧姓を使うのが一般的だ。通称使用を認める職場は増え、国も近年、マイナンバーカードや住民票、運転免許証などへの旧姓併記を可能にしてきた。
 だが、経験者は通称使用の煩わしさを語る。取引先に定着していたため、結婚後も職場で旧姓を使用してきた静岡市清水区の女性会社員(46)は「対外的には旧姓でも給与振り込みや健康保険証は戸籍名。社内で二つの名前が混在し、面倒になった」といい、数年で使用をやめた。
 静岡市葵区の団体職員女性(30)は離婚に直面し、改姓の負担を痛感している。手続きの煩雑さに加え、「あらゆる場面で説明しなくてはならない。別姓ならどんなに楽か。なぜ女性の側だけこんな苦労を強いられるのか」と嘆く。静岡大の笹原恵教授(社会学)はさらに、若い世代の結婚に与える影響も指摘する。「ただでさえ結婚に消極的になりつつある中、対等な関係性を望む若者にとって、同姓規定は結婚の負の側面になりかねない」

 ■学生も注視
 これから社会に出る学生からは選択的夫婦別姓制度について、「同姓か別姓かは、結婚する2人が話し合って選べる世の中がいい」との声が聞かれた。
 県立大3年の田中彩恵さん(21)は「まだ自分が結婚するイメージは湧かないが」と前置きした上で、「(同制度に)反対する政治家は、違う姓だと家族のきずなが深まらないと言うが、自分の経験や感覚としてはよく分からない」と同制度導入には賛成という。同大3年の石井杏奈さん(21)は「女性が社会でキャリアを積む上で別姓を望む人もいる。夫婦2人が答えを出せばいいことで、制度としては取り入れてほしい」と選挙戦での議論を注視する。

 <メモ>法相の諮問機関である法制審議会が、選択的夫婦別姓制度の導入を盛り込んだ民法改正案の要綱をまとめたのは、1996年。しかし、保守派議員の根強い反対から、改正案の国会提出は現在まで実現していない。
 今年6月には、最高裁が2015年に続いて、夫婦別姓を認めない現在の民法規定を合憲とする判断を下した。ただ、夫婦の姓をめぐる制度の在り方については「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄」とし、国会に議論をゆだねた。
 国連の女性差別撤廃委員会は、夫婦別姓を認めない民法規定を「差別的」として、過去3度にわたり日本に是正を勧告している。

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