10月31日午後8時頃、京王線の京王八王子発新宿行きの上り特急電車の車内で、男が刃物で乗客の70代の男性をナイフで刺し、車内に液体をまいて火をつけ、刺された男性は重体になるなどあわせて乗客17人がけがを負った。
警視庁の調べによると殺人未遂の現行犯で逮捕された服部恭太容疑者(24)は、事件前の午後6時頃、渋谷でハロウィーンの様子を見たあと、京王線を乗り継いで調布駅まで行き、上り電車に乗り換えていた。服部容疑者は映画のキャラクターの衣装を着ていたが、「電車内にも人が多くいるハロウィーンの日を狙った」「新宿行きの上りのほうが、人が多いと思って乗り換えた」と話しているという。
この記事の画像(5枚)犯行に使ったナイフは今年6月にネットで購入したと供述していて、ライターや液体が入ったペットボトル、スプレーを多数所持していた。スプレーで火を大きくしようとしたとみられ、「仕事で失敗し友人関係もうまくいかず死にたかった。自分では死ねないので死刑になりたかった」と身勝手な動機を述べているという。
またナイフを買った6月頃から死刑になることを考え、「大量殺人をしようと思っていて、小田急線の事件を見てこれだと思った」と供述しているということで、服部容疑者は電車に乗るとすぐに男性にスプレーをかけて刺したとみられる。
小田急線では今年8月、男が刃物で乗客に切りつけ、車内に火をつけようとする事件があった。最初に刺された女子大生ら10人が重軽傷を負ったが、「幸せそうな女性を殺したかった」と供述した男も途中駅で快速に乗り換えていて、「途中で乗客が降りられず、逃げ場がなく大量に人を殺せると思った」と供述したという。
各鉄道会社が進める安全対策
走行中は完全に密室となる鉄道の車内の安全対策は航空機のように搭乗前の荷物検査などが難しく、不審者の発見にも限界があり、鉄道各社は車内や駅に防犯カメラを設置するなど安全対策を進めている。
2018年6月、東海道新幹線で乗客3人が車内で殺傷された事件があったJR東海は警備員を東海道新幹線の全車両に同乗させていて、司令室や乗務員同士の通話システムを導入した。また医療器具や防護盾、刺股なども搭載している。
JR東日本も防犯カメラを山手線など車両のほとんどに設置して、各駅の防犯カメラのネットワーク化を進め、警備員の巡回強化などにあたっている。
事件があった小田急電鉄では今年9月、新宿駅で警視庁と合同訓練を行い、乗客の避難誘導や犯人確保での警察との連携を進めていて、警視庁も各鉄道会社などと頻繁に訓練をしている。
東急はすべての車両に防犯カメラを設置していて、司令室や本社でリアルタイムで確認できるようになり、ホームに防犯ボタンを設置して駅事務所や警備会社と直結しているという。
東京メトロはおよそ4割設置している車内の防犯カメラの設置を進め、注意喚起のポスターを駅構内に掲示している。
国も安全対策に乗り出していて、9月には国交省が鉄道事業者と安全対策をとりまとめ、駅員・警備員の巡回や安全を呼びかけるポスター・車内アナウンスなど「見せる警備」の強化、防犯カメラの不審者・不審物の探知にAI技術を導入、ピクトグラムを活用した非常通報装置の整備などを進めている。
非常用コック使用で停車位置がホームドアとずれ、ドアを開けられず
こうした安全対策が進む一方で、京王電鉄によると今回の事件では車内で非常通報装置のボタンが押されたものの応答がなく、防犯カメラもなかったため車内で何がおきているのか車掌らが把握できず、ドアの非常用コックが使われたため停車位置がホームドアとずれてドアを開けられず、乗客は窓から身を乗り出して避難することになった。
国交省や警察庁は今回の事件を受けて、警戒や連携強化を指示したが、さらなる安全対策が求められている。
ただし今回のように明らかな殺意をもって凶器を用意した計画的な犯行が行われた場合、逃げ場のない車内ではこうした安全対策で回避しきれないこともある。
鉄道など公共交通機関を利用するときにはホームや車内に目を配り、不審な動きがないか利用者自らが注意することが、何かあった場合の迅速な避難や通報につながることは意識しておきたい。
からの記事と詳細 ( 京王線刺傷事件 どうやって身を守るのか? 安全対策の取り組み - www.fnn.jp )
https://www.fnn.jp/articles/-/263013
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