直木賞の受賞が決まった米澤穂信さんは、岐阜県の出身で43歳。
大学生のころからウェブ上に自分の作品を発表し、2001年には「古典部」に入部した高校生が日常に秘められた謎に挑む「氷菓」が、角川学園小説大賞の奨励賞を受賞して作家としてデビューしました。
その後、2010年に発表した「折れた竜骨」で日本推理作家協会賞を、2014年に刊行された短編集の「満願」で山本周五郎賞を受賞して、人気作家としての地位を確立しました。
直木賞については「満願」と、その翌年に刊行された「真実の10メートル手前」で候補に選ばれましたが受賞はならず、いわば“三度目の正直”で今回の受賞となりました。
受賞作の「黒牢城」は、戦国時代、織田信長に背いて「有岡城」に立てこもった荒木村重が、翻意を促すためにやってきた黒田官兵衛を牢獄に幽閉したという史実を下敷きにした小説です。
織田方に包囲された城内では、密室殺人をはじめとする不可解な事件が次々と起きて、村重は牢の中の官兵衛に対して謎解きを求めるようになり、その場でほのめかされたヒントを基に解決を図ります。
村重と官兵衛の心理戦が緻密に描かれるだけでなく、事件の謎解きという推理小説としての要素と、戦国の世の価値観や慣習を盛り込んだ歴史小説としての要素を併せ持つ作品として話題になりました。
2022-01-19 12:23:22Z
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