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Tuesday, March 29, 2022

尖閣諸島の日本漁船は、いつ中国に撃たれてもおかしくない…東シナ海で起きている「国境紛争」の衝撃 東シナ海には「日本の排他的経済水域」はほとんどない - PRESIDENT Online

仕事の視野を広げるには読書が一番だ。書籍のハイライトを3000字で紹介するサービス「SERENDIP」から、プレジデントオンライン向けの特選記事を紹介しよう。今回取り上げるのは『東シナ海 漁民たちの国境紛争』(角川新書)――。
2013年9月6日、尖閣諸島の(手前から)南小島、北小島、魚釣島(沖縄県石垣市で、本社機から)

写真=読売新聞/アフロ

2013年9月6日、尖閣諸島の(手前から)南小島、北小島、魚釣島(沖縄県石垣市で、本社機から)

イントロダクション

日本、韓国、中国、台湾に囲まれた東シナ海は、海洋資源に恵まれ、日中台が領有を主張する尖閣諸島があるなど、東アジアの地政学上、きわめて重要な海域といえる。

その東シナ海、特に尖閣諸島周辺で近年、中国籍の船舶が日本の漁船の操業を脅かす事態がひんぱんに起きている。どう対処すればいいのだろうか。

本書では、東シナ海をめぐる地政学上の問題を、その歴史的経緯と現状を描きながら「漁業」の視点で読み解く。

日本、中国、台湾による水産資源の権益争いや、尖閣諸島をめぐる国境紛争の最前線にいるのは、日中台の漁船、漁業者である。絶大な国力をもって武力行使もいとわない姿勢を見せる中国に対峙するには、衰退産業にも位置付けられる現状の日本漁業では心もとない。それゆえ著者は、究極の選択肢としながらも、日本漁業の「国有化」にまで踏み込む。

著者は、北海道大学大学院水産科学研究院准教授を務める漁業経済学者。農林水産省水産政策審議会委員。専門は漁業経済学・職業教育学・産業社会学。著書に『近代日本の水産教育 「国境」に立つ漁業者の養成』(北海道大学出版会)、『漁業と国境』(共著、みすず書房)などがある。

まえがき――東シナ海での出会い
序.日本の生命線
1.追いつめられる東シナ海漁業
2.東シナ海で増す中国・台湾の存在感
3.東シナ海に埋め込まれた時限爆弾
4.日本人が消える海
5.軍事化する海での漁業
終.日本漁業国有化論
あとがき――さまよう小舟

東シナ海には日本の排他的経済水域はほとんどない

東シナ海は太平洋の西側にある縁海で、日本政府によれば「おおよそ、北限は済州島と長江河口及び同島と我が国の五島列島を結んだ線、東限は九州西端から南西諸島を経た線、南限は台湾海峡の北限、西限は中国大陸で囲まれる海域」〔平成28年4月8日受領答弁第224号「答弁書」〕とされている。この東シナ海の約8割は、水深200メートル未満の浅い海で、優良漁場だ。

あり得ないと思われるかもしれないが、東シナ海では関係国と相互承認している日本の排他的経済水域(EEZ)はほとんどない。東シナ海では中国が(*日中のEEZの)中間線で経済水域を折半することを拒み、全域が中国の権益であると主張している。

新「日中漁業協定」(*1997年締結)では、EEZのかわりに、漁業協定でのみ意味を持つ「日中暫定措置水域」(*日中で共同管理する)と「中間水域」(*各国が自由に操業できる)という、二つの海域が設定された。

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