ニュージーランド(以下、NZ)ラグビー協会の大きな決断、イアン・フォスター ヘッドコーチ(以下、HC)継続発表から僅か10日後の8月27日。
オールブラックスがアルゼンチン相手にNZの地で初めて敗れ(18−25)、再びNZ国内はざわつくことになった。
▼チケット完売で盛り上がったスタジアム。
6年ぶりにオールブラックスがクライストチャーチでおこなった試合だった。心配されたチケットの売れ行きも試合前日からの盛り上がりにより、当日の駆け込みで完売した。
子どもたちがスタンドの通路で選手たちに合わせ、オールブラックスの 「ハカ」をする光景もあった。試合序盤にもかかわらずウエーブがおこなわれるなど、地元カンタベリアンは「空白の6年」を埋めるために盛り上げようとしていた。
前半はオールブラックスのスタッフに新しく加わった、FW担当のジェイソン・ライアン、アタック担当のジョー・シュミット両コーチの効果もあり、持ち味の速い展開が見られた。ラインアウトから凄まじいモールの攻撃でトライを挙げるなど、試合を有利に進めていた。
オールブラックスの素晴らしい2つのトライに、スタジアムは最高潮に盛り上がった。
しかし、厳格に笛を吹くニカ・アマシュケリ レフリー(ジョージア)のジャッジに戸惑っていたオールブラックスは、反則を多くとられて4つのペナルティゴール(PG)を決められる。
15−12とわずか3点のリードでハーフタイムに入るも、オールブラックスに勢いがあったため、ファンに心配する様子は見られなかった。
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▼スタジアムから笑顔が消えた後半戦。
さらに加速したオールブラックスが見られるとファンが期待した後半。修正して戦ったのはアルゼンチンだった。
フィジカルバトルで互角以上に戦い、反則を減らした。
一方のオールブラックスは引き続きレフリングに対処し切れず、反則を減らすことができない。リズムに乗れなかった。
警戒していたにもかかわらずハイボールのコンテストでもプレッシャーを受け、そこからトライを奪われて逆転を許してしまった。
極めつけは、サム・ケイン主将の不用意な反則だ。アルゼンチンはPGを決めて点差を7点に広げ、試合を有利に進める。
この得点をきっかけにスタジアムの雰囲気は重くなり、観客から徐々に笑顔が消えていった。
その後、オールブラックスには何度もチャンスがあった。しかし、度重なるラインアウトのミスや反則でことごとく自陣に押し戻される。そんなシーンが繰り返されるたびにスタジアムにため息が漏れた。
せめて最後にトライを奪い、同点に持ち込んでくれ。そう言わんばかりの観客の気持ちがこもっていた。
最後に巡ってきたオールブラックスのチャンス。敵陣ゴール前のラインアウトもスローイングが真っ直ぐ入らなかった。残り時間1分を切ってのアルゼンチンボールのスクラム。万事休すだ。
目の前でオールブラックスが敗れる瞬間を見たくないのか、その時点で席を立つファンも少なくなかった。
そして間もなく、フルタイムの笛が吹かれた。アルゼンチンがNZの地で初めてオールブラックスに勝利する瞬間だった。アルゼンチンの選手たちの喜びの大きさは、まるでワールドカップで優勝したようだった。
オールブラックスサポーターの多くは直ぐにスタジアムをあとにした。しかし、アルゼンチンサポーターはお祭り騒ぎ。いつまでも歌を歌い続けた。
今季クルセイダーズでプレイしたパブロ・マテーラが、チームに新たなスパイスを加えた。アルゼンチンは確実に強くなっている。
▼試合後のNZ国内の反応は?
再び 歴史的な敗戦記録を作ってしまったオールブラックス。NZ国内のメディアやファンが黙っているはずがない。翌日のTVニュースは各局トップ扱いで「悪夢の再来」と紹介した。SNS上でも再び批判が過熱した。
もっとも衝撃だったのは試合翌日の、とある番組のトークバックラジオだ。
当然のように、フォスターHCとキャプテンの話が中心だ。
「お願いだから、イアンフォスターHC辞任してください」
「サム・ケイン、あなたはオールブラックスのキャプテンに相応しくありません…」
強烈な言葉が次から次へと出て、ヒートアップする場面が多かった。
このような言葉を、ここ2か月で何度聞いたか。それほどNZ国内のラグビーファンは怒りを爆発させている。
アイルランド戦での2連敗と合わせ、ホーム3連敗となったオールブラックス。これはNZラグビーの歴史の中で初めて。荒れるのも仕方がない。
この試合の10日前のフォスターHC継続を決めたNZラグビー協会の責任は重い。
南アフリカとの2戦目で素晴らしい試合をしたのにも関わらず、アルゼンチンに敗れ、国民の信頼を回復することはできなかった。
敗因は、はっきりしている。規律、後半5分にフロントロー総入れ替え以降のラインアウトのスローイングの乱れだ。これらは修正可能な点でさほど心配ではないが、試合を重ねてもパフオーマンスが安定させられないことが気がかりだ。
試合を通じてスクラムを圧倒した若手フロントローの成長は明るい材料だ。しかし、それ以外のテコ入れが必要だろう。
今後の試合に向け、キャプテンを含めたメンバー変更を真剣に考える時が来たのかもしれない。
オールブラックスの復活はいつだ?
からの記事と詳細 ( オールブラックスの復活はいつ? ホーム3連敗に、NZ国内荒れる。 - RUGBY REPUBLIC(ラグビーリパブリック) )
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