探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った小惑星「りゅうぐう」の石や砂の化学分析から、りゅうぐうは「イブナ型」と呼ばれる隕石(いんせき)の仲間で、天王星や海王星のある「太陽系の果て」からやってきた可能性があると、北海道大、東工大、東大のチームが発表しました。
イブナ型は炭素を含む「炭素質隕石」の一種で、地上で見つかった数万個の隕石のうちわずか9個しかない「レア」な存在です。その理由は、イブナ型が他の隕石よりもろく、地上に落ちてくるまでに燃え尽きてしまうためだと考えられています。
炭素質隕石は、水や有機物などの揮発性物質を含んでいます。揮発性の高い物質は太陽に近いと高温で気体となってしまうため、炭素質隕石は木星よりも遠く、寒い場所で誕生したと考えられています。
今回、研究チームが注目したのは、りゅうぐうの「同位体比」でした。同位体は、同じ種類の元素でも、原子核を構成する中性子の数が違い、重さの異なる原子のことを指します。どの重さの同位体がどれだけ含まれているかという比率が同位体比です。
小惑星や隕石の同位体比は、その天体が経てきた過程によって異なり、起源を探る手掛かりになるのではないかと考えられてきました。
チームがりゅうぐうの石や砂に含まれる鉄の同位体比を調べると、イブナ型の炭素質隕石と一致し、他の炭素質隕石とは異なることが判明しました。つまり、りゅうぐうとイブナ型は、ほかの隕石とは違う場所で誕生した可能性が高いということです。
他の隕石と違う場所とはどこでしょうか。りゅうぐうやイブナ型は他の炭素質隕石より揮発性物質を多く含むことから、より遠く、低温の場所でできたと考えるのが自然です。それは、天王星や海王星が誕生したような太陽系の外側である可能性が高いと考えられます。
そのような場所で誕生した後、天王星や海王星の重力の影響を受け、りゅうぐうは現在の小惑星帯に運ばれてきたのではないか、と研究チームでは考えています。
チームの橘省吾東大教授は「りゅうぐうは太陽系の果てからやってきた小天体の『破片』だと考えられる」と話した上で、「りゅうぐうの正体を明らかにすることで、太陽系の起源について、より具体的な仮説が立てられるようになる」と期待します。 (小沢慧一)
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2022-11-05 22:20:27Z
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