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Wednesday, August 2, 2023

特殊詐欺グループに悪用される「口座凍結」、どうやって「回避 ... - au Webポータル

高齢者が特殊詐欺のターゲットとなっている(マハロ / PIXTA)

「銀行口座が凍結された。解除するには現金が必要なので、助けてほしい」。特殊詐欺グループがこんなウソをついて、高齢者からお金をだまし取った事件が起きているそうです。

たしかに銀行口座が凍結されると、お金を下ろしたり、振込みや口座引き落としができなくなります。口座名義人が亡くなった場合など、意外と身近にある制度ですが、口座の譲渡など犯罪に利用した場合も口座凍結されています。

さらに最近では、見に覚えがない「不正利用」を疑われて、口座凍結されてしまうケースもあるといいます。

突然、「口座凍結された」という連絡を受けた場合に、あわてないためにどんなことに気をつければよいのでしょうか。元検事で、口座凍結解除の経験もある西山晴基弁護士に聞きました。

●口座凍結を放置しておくことはリスクがある

――そもそも不正利用が疑われるケースとは?

いわゆる「闇バイト」をはじめとした特殊詐欺事件で、犯罪グループから口座を悪用されたようなケースです。

犯罪グループは犯罪収益を転々とさせて、その所在がわからないようにしています。次々に末端メンバーが逮捕されていく中で、中核メンバーは犯罪収益を確実に得ようとしているわけです。

彼らは、そうした犯罪収益の隠匿にも、犯罪とはまったく関係ない人たちを騙して利用したり、仕入れた口座情報を悪用したりしています。

最近では、詐欺被害者が「あなたの携帯から不特定多数の人にウイルスがまかれた」「示談するためにお金を支払って」などと騙され、犯罪グループから振り込まれた大金を指定された口座に送金させられたという事件も発生しました。

捜査機関や金融機関は、こうした特殊詐欺グループによる犯罪収益の隠匿行為を阻止する必要性があるため、不正利用の「疑い」があれば口座凍結する措置を講じています。

――口座凍結されるきっかけは?

不正利用の疑いで口座凍結されるきっかけは大きく2つあります。

1つ目は、銀行の不正検知システムにより、不審な入出金がある預金口座だと判断されて口座凍結されるケースです。不正検知には、AI技術の利用も検討されているようです。

2つ目は、詐欺被害者から直接、または捜査機関や弁護士を通じた申立てにより口座凍結されるケースです。

――口座凍結を放置しておくとどうなるんでしょうか?

口座凍結を放置しておくと、振込詐欺救済法の手続きによって、その口座内の預金が消滅させられてしまう可能性があります。また、口座凍結に伴い、捜査機関などの凍結口座リストに登録されることにより、他の預金口座も凍結されたり、新たな預金口座を開設できなくなったりするおそれもあります。

――口座凍結を解除するためには?

口座凍結を解除してもらうには、警察や銀行と交渉する必要があります。ただし、警察や銀行は、不正利用を疑っている立場であるため、本人の話をなかなか聞き入れてくれないことが多いです。交渉方法にもよりますが、弁護士を通じることによって、スムーズに口座凍結解除の手続きが進む可能性があります。

●口座凍結をうたった詐欺にだまされないように

――口座凍結をうたった詐欺にだまされないためにはどうすればよいでしょうか?

お話ししてきたように、身に覚えがなくとも口座凍結されてしまうことは現実にあります。そのため、突然、自分や近親者の預金口座が凍結されたと連絡を受けた場合、あわててしまうのは仕方がありません。

しかし、口座凍結されたかといって、急にお金が必要になるわけではありません。振込詐欺救済法の手続きによって、預金が消滅してしまうおそれもありますが、その手続きを回避するにあたっても、すぐさまお金を支払わなければならないわけではありません。

その場で自分だけで判断するのではなく、まずは周りに確認することで、冷静さを取り戻すことが大切です。

自分の銀行口座であれば、その銀行に、近親者の預金口座であれば、その本人に連絡すれば、嘘か本当かはたしかめられるはずです。

――犯罪グループは手の込んだやり口を使いそうです。

たしかに犯罪グループは、嘘の連絡をしてきたあと、自宅を訪ねてきて、現金やキャッシュカードを受け取ろうとしてきますが、いったん無視することが鉄則です。口座凍結解除の手続きだけではなく、警察や銀行員、弁護士や法律事務所の職員が、現金やキャッシュカードを直接受け取りに自宅に来ることはまずありません。

加えて、法的手続きにおいて現金のやり取りをする場合、事前に書面を作成するのが一般的です。そのため、「書面作成なく現金やキャッシュカードを渡してはならい」と頭の片隅に置いておいていただきたいです。

もちろん犯罪グループが虚偽の書面を提示してくる可能性も否定できませんので、書面が出てきたからといって安易に信じるのではなく、いったん周りに相談するようにして、やはり自分だけで判断しないようにすることが大切です。

【取材協力弁護士】
西山 晴基(にしやま・はるき)弁護士
東京地検を退官後、レイ法律事務所に入所。検察官として、東京地検・さいたま地検・福岡地検といった大規模検察庁において、殺人・強盗致死・恐喝等の強行犯事件、強制性交等致死、強制わいせつ致傷、児童福祉法違反、公然わいせつ、盗撮、児童買春等の性犯罪事件、詐欺、業務上横領、特別背任等の経済犯罪事件、脱税事件等数多く経験し、捜査機関や刑事裁判官の考え方を熟知。現在は、弁護士として、刑事分野、芸能・エンターテインメント分野の案件を専門に数多くの事件を扱う。
事務所名:レイ法律事務所
事務所URL:http://rei-law.com/

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