東京工業大学とエネオス(ENEOS)らの共同研究チームは、従来の吸着機構とは全く異なる機構による二酸化炭素(CO2)の捕捉手法を開発。CO2が通過する瞬間のみ生じるMOF(Metal-Organic Frameworks、金属有機構造体)フレームワークの構造変化現象を捉え、これに起因する活性化エネルギー(エネルギー障壁)により、CO2選択性と物理吸着レベルの小さな脱離エネルギーを実現した。
研究チームは今回、MOFのフレームワークが相互貫入していることで生じる孤立した空間を持つ構造を構築。CO2が通過する瞬間のみ構造の微細変化により一時的な通路が現れ、CO2が通り過ぎると通路が再び消失することで孤立空間にCO2が閉じ込められるようにした。孤立空間に閉じ込められたCO2は、孔内壁との強い相互作用が無いにもかかわらず、室温・大気圧下で1週間以上CO2を保持できた。
同チームによると、分子が移動する際のフレームワーク構造の微細変化にはエネルギー障壁が存在しており、分子のわずかな大きさの違いによってエネルギー障壁は大きく変化するため、これによりCO2選択性が得られるという。既存のCO2分離技術である化学吸収法(塩基性溶液への吸収)および固体吸着法(塩基性吸着剤への化学吸着)は強いCO2吸着力を利用するため、CO2選択性が高い半面、回収したCO2を脱離させるのに大きなエネルギーを必要とする。一方、弱いCO2吸着力を利用する固体吸着剤は、小さなエネルギーで容易にCO2を脱離させることができる半面、CO2選択性が低いという課題がある。
今回の成果は、カーボンニュートラル社会の実現に向け必要な材料の一つであるCO2吸着材の開発において新たな可能性を提案するものとして期待される。研究論文は、アドバンスト・サイエンス(Advanced Science)に、2023年11月20日付けでオンライン掲載された。
(中條)
2023-11-22 22:00:59Z
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