2024年2月8日にローンチを控えるSFサードパーソンシューター「HELLDIVERS 2」(PC / PS5)のメディア先行体験会が,ソニー・インタラクティブエンタテインメント本社にて行われた。
エリート兵士としてさまざまな敵と戦う本作では,プレイヤー同士の協力が重要だ。開発者の合同インタビューと合わせてレポートしよう。
エイリアンやロボットを相手に最大4人で盛り上がれる
「HELLDIVERS 2」のプレイヤーは,未来のエリート兵士「ヘルダイバー」として宇宙を巻き込む「銀河大戦」に参戦し,不気味な虫「ターミニッド」や殺人ロボット「オートマトン」といった勢力に立ち向かう。最大4人のプレイヤーでチームを編成して協力プレイが可能。PS5とPC間のマッチングにも対応している。
今回はメディア3名(筆者含む)とSIEのスタッフによるパーティを編成した。銀河大戦にはヘルダイバーたちの「スーパーアース」,ターミッドやオートマトンといった勢力が入り乱れ,戦局はリアルタイムで推移する。ヘルダイバーが敵の惑星でミッションを成功させると「解放率」が上昇し,少しずつだが有利になっていくようだ。
プレイヤー4名は惑星軌道上の宇宙戦艦から,それぞれの降下ポッドに乗って突入し,地表での戦いに臨んだ。前作は見下ろし視点の,いわゆるツインスティックシューターだったが,「2」はカメラがヘルダイバーの後方を追う三人称視点になり,地表を這い回るターミッドの不気味さや,物言わず迫ってくるオートマトンの恐ろしさも際立っている。
マップには基地などのミッション目標が点在し,その合間をパトロール隊がうろつくという基本部分は前作と同様だ。あえて目的地の近くに降下して短期決戦を挑んだり,安全な場所から敵を避けながら進んだりといった多彩な作戦が可能。敵は視覚や聴覚でこちらを探しているため,不用意に暴れるとパーティが危機に陥りかねない。戦場はなかなかシビアだ。
敵と遭遇したら,もう遠慮する必要はない。時間がかかると増援がやってくるため,持てる最大の火力で殲滅を目指す。手にした武器をぶっ放せば,ターミッドの体液が飛び散り,オートマトンの手足が吹っ飛んでいく。爽快な気分だ。
重装甲のターミッドに正面からの銃撃は効果が薄いため,後方に回り込んで弱点を狙いたい。一方,オートマトンが出てくる兵舎は,煙突状の換気口にグレネードを投げ込めば大ダメージを与えられる。このように敵の種類や状況に応じた戦い方が存在するのも面白いところだ。撃ちまくりつつ,周囲を観察して頭も使わなければならない。
こうしたゲームデザインを象徴しているのが,「HELLDIVERS」シリーズの名物であるフレンドリーファイア(誤射)のフィーチャーだ。前作と同様,プレイヤーが撃った弾は味方にもダメージを与えるため,むやみやたらと乱射すると危ない。
また,手持ちの弾薬は限られているうえ,リロード時には弾倉に残った弾を丸々捨ててしまう。圧倒的な数の敵に対処しながらも,誤射や弾切れにも気を使わなければならないわけで,ミリタリー的なリアリティがある。
とはいえ,誤射や敵の攻撃で仲間が倒れても心配無用。残り人数がある限り,新たに仲間を呼び出せばいい。つまり,リスポーン可能であり,残り人数は17人も用意されていたため,多少やられたところでギスギスするようなことはなかった。
それどころか,強敵を足止めしていると「俺ごと撃てー!」とフレンドリーファイアを望む状況も起こる。
プレイヤー同士が自然に協力し合うような仕掛けが施されているのもポイントだ。仲間が機器を操作している間は無防備になるので背中を守り,任務達成後は味方が回収に来るまで四方八方から敵がやってくるため,集まって戦うことに。今回のパーティは初対面同士だったが,いつのまにかゲラゲラ笑ったり,声を掛け合ったりと絆が生まれていった。
「弾が足りない」「もっと強い武器が欲しい」という状況になったら,「戦略支援」の出番だ。軌道上にいる母艦に対し,武器弾薬や支援砲撃,仲間のリスポーンを要請することになる。これも「HELLDIVERS」シリーズの名物だ。
そして,要請には方向パッドでコードを入力しなければならないのも前作と同様。「↓↓↑→」や「↓←→→←」といった,隠しコマンドのようなコードを入力後,ビーコンを投げると荷物や砲弾が降ってくる。もちろん,これに巻き込まれたらヘルダイバーはあの世行きだ。
だからと言って,ビビってビーコンを遠くに投げすぎると肝心の荷物を拾えなくなったり,敵に当たらなかったりするから難しい。幸い,戦略支援の種類によってコードは決まっている。慣れればテキパキ入力できるようになり,落ち着いてビーコンを投げられるはずだ。
仲間の弾薬が切れそうな頃合いに配達を頼み,支援砲撃がうまく敵を直撃。策がはまれば気分は格別だ。助けてくれた仲間への感謝も深まり,連帯感がより強くなる。
戦略支援の中にはユニークな装備も存在し,戦いがさらに面白くなる。例えば「オートキャノン」は銃手と弾の補充役,2人が組んで扱う装備。補充役は銃手に付いて歩き,弾薬を渡してあげることになる。扱いは難しいが火力は高く,敵は派手に吹っ飛んでいく。
また,高く飛べる「ジャンプパック」,自動射撃してくれるタレット,自分が乗り込んで使う砲塔などもあり,すべて試したくなる。戦略支援や装備はゲーム内で得たアイテムによって増え,4つまで選んで持っていける。ビルドを考えるのも重要になりそうだ。
先行体験の終盤には,巨大なターミッド「バイル・タイタン」と戦う任務に投入された。それまでにいくつかの難関を乗り越えてきたことで,4人のパーティには絆が生まれ,打倒バイル・タイタンに意気も上がったが,相手は予想以上に強かった。
パーティは一瞬で壊滅し,敵を倒すどころか,ほうほうの体で逃げ惑うことに。全滅も時間の問題かと思われたが,突如としてバイル・タイタンが倒れて任務達成となった。
「それにしてもなぜ……?」といぶかしむところだが,どうやら仲間がリスポーン時に降下ポッドをバイル・タイタンにぶつけて,大ダメージを与えたらしい。降下ポッドは落下中,ある程度操縦できるため,これは発想の勝利と言えよう。マルチプレイならではのドラマも生まれ,忘れられない体験になりそうだ。
この日は「HELLDIVERS 2」の開発を手がけるArrowhead Game StudiosのCEO兼クリエイティブディレクター,ヨハン・ピールステッド氏が来日しており,合同インタビューも行われた。作品にかける思いや開発秘話などを聞けたので,ぜひ目を通してほしい。
――「HELLDIVERS 2」をどんなプレイヤーにおすすめしたいですか。
ヨハン・ピールステッド氏(以下,ピールステッド氏):
フレンドと一緒に冒険をしたい人ですね。激しいゲームではありますから,ほかのプレイヤーと笑いながら感情移入してプレイできる人におすすめです。
――前作「HELLDIVERS」は見下ろし視点でしたが,続編には三人称視点を採用しています。どのような理由で変えたのでしょうか。
ピールステッド氏:
「HELLDIVERS」の視点は成功したものですが,試しにカメラを地面に下ろしてみたところ,没入感がより強くなったので三人称視点に変えました。見下ろし視点が苦手な人にも,戦略支援をはじめとしたチームプレイを体験していただけると思います。
――こだわった部分はどこですか。
ピールステッド氏:
「自由のために戦っていたはずが,いつの間にか星々を破壊してまわっていた」なんてゲームではありますが,爆破の表現や,敵の手脚を破壊すると動けなくなったり,攻撃できなくなったりといった細かな部分にこだわりました。
――実際にプレイしてみて難度が高く感じられました。
ピールステッド氏:
あえてチャレンジングな難度にして,ほかの人と一緒にプレイしたいという気持ちになってもらえるようにしています。一人ぼっちで暗闇にいるより,友達と一緒であれば心も安らぐでしょう。最後に体験していただいたバイル・タイタン戦は,9段階ある難度のうちの4段階です。
――自分の銃器や戦略支援で仲間が巻き込まれるフレンドリーファイアは「HELLDIVERS」の特徴でした。こうした要素を続投している理由を教えてください。
ピールステッド氏:
「HELLDIVERS 2」はリアリティにこだわっているゲームです。敵も味方も同じルールの下にいて,敵を殺せる武器が当たれば味方も死んでしまうというようなリアリズムを保ちたかったんです。友軍を誤射したり,落ちてきた戦略支援に自分が潰されたりといったスラップスティックコメディのような体験は,みんなで共有して笑うことができますしね。
――ストーリーの進行を教えてください。
ピールステッド氏:
プレイヤーはゲーム内に流れるニュースを通じて銀河大戦の動勢を知り,ストーリーを追っていきます。世界はプレイヤーたちの行動で刻々と移り変わりますので,コミュニティが銀河の歴史を記録してくれると信じています。途中からゲームを始めたプレイヤーは過去の事件を体験できませんが,ニュースや当時を知るプレイヤーが状況を教えてくれることでしょう。
――戦況が変わることで,新たな装備が出現したりするのでしょうか?
ピールステッド氏:
スーパーアースが活動方針を指示する「全体命令」いかんによっては,新しい武器や戦略支援が使えるようになります。この点はコミュニティがどこまでストーリーを進めるか次第で変化します。また,Arrowhead Game Studiosはコミュニティとインタラクトしており,どんなことを望んでいるかを常に確認し,プレイヤーの声に耳を傾け続けます。
――ターミッドとオートマトンという敵勢力が存在しますが,プレイヤーが絶滅させるようなことはできますか。
ピールステッド氏:
前作ではプレイヤーたちが一方の敵勢力に集中攻撃をかけたため,我々はこれを絶滅させる措置を執ったことがありましたが,コミュニティの反応はいいものではなかったんです。「HELLDIVERS 2」では全滅は止めることになりました。一方の勢力を集中的に攻めると,その隙にもう一方の勢いが強くなるようなことが起こると思います。
――前作のプレイヤーにも注目してほしいポイントは?
ピールステッド氏:
「HELLDIVERS 2」はシステマティックなゲームであり,奥深いところまで気を使っています。例えば,暗闇ではプレイヤーが周囲を確認しにくくなるのはもちろん,敵側も視覚で探索できなくなり,音を頼りにするようになるため,騒音を立てると寄ってきたりします。いろいろな探求をして,どう戦うかを発見してほしいです。
事実,「HELLDIVERS」では知識を積み重ねて,1人で戦えるようになった人もいます。今回も新たなインタラクションを見つけてほしいです。
――「HELLDIVERS」のコミュニティ運営が,「HELLDIVERS 2」に役立っている部分はありますか。
ピールステッド氏:
前作のプレイヤーから寄せられた声に,印象深いものがありました。2人の若いプレイヤーが賑やかに「HELLDIVERS」を遊んでいたところ,隣人が「うるさい!」と苦情を言いに来たそうです。2人は隣人に「HELLDIVERS」を勧め,年齢差があるにもかかわらず,みんなで一緒にプレイするようになりました。チームプレイの楽しさは「HELLDIVERS 2」でも大事にしています。
――武器の種類が多く,中でも2人で使うものが印象的でした。
ピールステッド氏:
なかなか覚えられないくらい,多くの武器があり,ローンチ後も追加する予定です。チームプレイを大事にしていますから,2人で使う武器もたくさんあります。こうした武器は,私が兵役を経験したことから生まれました。1人が武器の本体を抱え,もう1人が狙いを定めて発射する武器を扱ったことがあり,お互いに息を合わせないとうまく使えません。「HELLDIVERS 2」の舞台はSF世界ですが,こうしたリアリティをゲームに入れたかったんです。
私のオススメはガトリング砲塔ですね。8歳の時,親に禁じられていたにもかかわらず映画「エイリアン」を見て,ガトリング砲塔が活躍するシーンを印象的に感じました。ですから,「HELLDIVERS 2」でも自分のファンタジーを呼び起こすガトリング砲塔が好きなんです。
――開発中の印象的なエピソードを教えてください。
ピールステッド氏:
前作の開発時,我々は15人ほどの小さなチームでしたが,「HELLDIVERS 2」では120人ほどの規模になりました。楽しくゲームを作るクリエイティブなチームでありながら,組織として機能するものにすることが大変でした。
ゲームについては,プレイヤーたちが互いに「近いところにいたい」と感じさせるゲームデザインにするのが大変でしたね。開発中につらい状況にある親友とプレイした際,エモートを使ってハグしたところ,とても喜んでくれたことを覚えています。
――シングルプレイは可能ですか。
ピールステッド氏:
可能ではあります。敵に見つからないように行動するといった,ステルス寄りのスタイルになるでしょう。シングルプレイの場合,味方から誤射されないので集中して戦えるというメリットがあります。
私自身,4段階の難度まではシングルプレイで戦えました。皆さんはもっと上手でしょうから,1人ですべてクリアするプレイヤーの登場を期待しています。
――最後に日本のプレイヤーにメッセージをお願いします。
ピールステッド氏:
「HELLDIVERS 2」はグローバルでローンチされますが,時差の関係上,最も早くプレイできるのは日本の皆さんです。ヘルダイバーの一員として,スーパーアースを守ってください。
「HELLDIVERS 2」は見下ろし視点から三人称視点になり,迫力を増した戦闘が描かれている。そして,プレイヤー同士が自然に協力し合うゲームデザインや,フレンドリーファイアといった「HELLDIVERS」シリーズらしさは健在。協力プレイが好きなゲーマーは,2024年2月8日の発売日を楽しみに待ってほしい。
2024-02-02 09:00:00Z
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