スマートフォンやタブレットの普及と高性能化に伴ってアプリ市場も成熟し、様々なことがそうしたデバイスひとつで済ませられるようになりました。
しかし、時に「重い」処理を行なう場合、スマートフォンだけでは力不足を感じることもあるでしょう。それは例えば4K動画を編集したり、容量の大きなファイルを扱ったりといったようなことです。このような場合は、目的に合わせてPCの利用を検討する価値があります。
とはいえ、「パソコン」のスペックはカメラの仕様表にも似て、知識ゼロの状態でいきなり眺めても意味のわかる単語はわずかです。そこで本連載では、特にWindows PCのスペックを理解する上で必要なパーツ知識を解説します。
目標は「BTO PCのスペック表の意味がわかる」。詳しい情報は検索すればいくらでも出てきますので、ここではこれさえ抑えておけばOKという最低限の情報に絞って説明します。
なおMacについてはラインナップが整理されており、予算のほかに迷う余地がほぼないため情報としては扱いません。そのほか技術的な深掘りやトレンドについては、僚誌PC WatchやAKIBA PC Hotline!をご覧いただくのをおすすめします。
CPUの呼称・型番で大体の性能がわかる
第1回のテーマは「CPU」。CPUはBTO PCのキャッチコピーにも真っ先に出てくるくらいに重要なパーツであり、人間に例えると「脳」にあたると説明されることもあります。一般的にCPUの性能が高ければ、PCの動作も速くなります。
例えばRAW現像アプリであれば現像処理の速度が上がり、動画編集アプリであればエンコードやプレビュー表示などが高速化するといった形。これをけちってもあまり良いことはないので、できるだけ優先的に予算を割り振りたいパーツです。
日本で購入できる民生用PCに搭載されている主要なCPUは、IntelとAMDの2社が供給しており、型番を見ることによって大体の性能を判断できます。ここではクリエイター向けBTO PCに搭載されている例の多いIntel「Core」(コア)とAMD「Ryzen」(ライゼン)を紹介しましょう。
Core
型番の一例として「Core i7-14700F」を挙げて説明します。
「Core」はCPUのブランド名、「i7」はCoreに属するCPUのシリーズ名、5桁の数字はCPUの「プロセッサー番号」と呼ばれるものです。プロセッサー番号は、最初の2桁が「世代」(この場合は第14世代)、次の3桁は製品の種類にあたる「SKU」(Stock Keeping Unit)、最後のアルファベットは仕様違いを示す「サフィックス」(接尾辞)をそれぞれ指します。
基本的には「i7」のようなシリーズ名の数字と「プロセッサー番号」を見て、それぞれの数字が大きければ大きいほど高性能(そして高価)だと覚えておけばだいたい合っています。
IntelとAMDどっちがいいの?
用途によるので一概にどちらが良いとは言い切れません。一般的にCoreシリーズは高負荷なアプリを動かすのに向いているとされ、Ryzenは複数のアプリを同時に使う用途に強いと言われています。購入するPCでやりたいことを考慮して選ぶとよいでしょう。
デジカメ Watchの読者であれば、LightroomやPremiere Pro、DaVinci Resolveなどを使う時だけにPCを起動するのか、WebサイトやYouTubeなどを見て勉強しながらアプリを使うのかによって決めてもいいかもしれません。人それぞれです。
クリエイティブアプリの最小/推奨構成
RAW現像アプリや動画編集アプリなどには、安定して動作するハードウェア性能の基準が定められています。CPUに関していえば、一例としてPhotoshopでは「64ビットをサポートしているIntelまたはAMDマルチコアプロセッサー(SSE 4.2以降の2GHz以上のプロセッサー)」、Premiere Proでは「Intel第6世代以降のCPUまたはAMD Ryzen 1000シリーズ以降のCPU」が必要と記載しています。
さらにPremiere Proの場合は、推奨構成として「Quick Sync搭載のIntel第11世代以降のCPUまたはAMD Ryzen 3000 シリーズ/Threadripper 2000シリーズ以降のCPU」を挙げており、2、3世代前からの比較的高性能なCPUを要求していることがわかります。
このほか、DaVinci Resolveでは最小システム要件にCPUの項目を記載していません。
なお、これら最小/推奨構成の要件に記載している「64bitサポート」「2GHz以上のプロセッサー」「SSE 4.2以上」「Quick Sync搭載」といった各種の条件は現行のCPUであればすべてクリアしているはずなので、現在クリエイター向けとして売られているBTO PCを買う限りにおいては無視しても問題ありません。
ただし、コスト重視で古いパーツを集めてPCを組む場合や、中古PCを購入する場合は確認が必要です。
2024-02-04 03:00:00Z
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