某月某日、N先生からメールが4年ぶりに届いた。
この方は、東京の大きな産婦人科の女医さんで、長男が生まれた時、担当してくださった。それ以来、縁が途切れず、今も時々、忘れた頃にメールが届く。
あと、二年で定年なのだ、そうだ。
「身体もだんだん無理が効かなくなってきていますが、お互い、これからをどう生きるか、考えなくてはならない年齢ですね。お元気でいらしてください」
と結ばれてあった。
ぼくが「体調悪い」と日記に書いたから、各方面の方が心配をして、メールをくださる。独り者ではあるが、こうやって発信をしていると、気遣ってもらえることで孤立せずにすんでいる。ありがたや。
この四年ぶりのメールを貰い、あんなに若かった自分が、決して、老後などまだまだ先のことだろうと思っていたのに、気が付くと、もう、還暦をとっくに過ぎて、曲がり角に立たされ、音楽の引退も決めたし、知らないうちに、人生の後始末をしはじめていることに、気が付いて、愕然としてしまうのだった。
(音楽自体はやめないので、ご安心を)
※ 質素だが、おいしかったですよ!!!
息子が巣立って、子育てがひとまずひと段落し、もっとも、大学院卒業までまだ数年の支援が必要なのだが、そこに愛犬が登場をして、ぼくの孤独は三四郎によって、癒されることになるが、今回のように病気になると、ただ寝ていればいいというわけにもいかないし、人にうつせないから、誰かに助けにきてもらうわけにもいかないし、犬の散歩もあるし、昨夜は大雨だったし、いやはや、実に、大変なのである。
親は、介護が必要な状態になりつつあり、弟が面倒をみているが、その弟だって、病気にならないわけもなく、その時、どうするのだろう、と思わない日はない。
けれども、これは、ぼくだけの問題じゃなく、少子化が進む日本では、みなさんに共通する課題でもあろう。
「私も将来が不安ですし、子供がいませんが、辻さんの子育ての奮闘記を自分のことのようにいつも読んでいるんですよ」
とラインをくださった知り合いもいた。
「三四郎くんがいて、よかったですね。犬は心の友だちです」
という犬仲間さんからメッセージを貰うこともある。
こういつつながりが実はこの世界を維持させているのだ、と思わない日はない。
食欲がやっと出てきたので、一人で生きる飯を、作った。
ふらふらするので、大したものは作れないが、鶏肉を裂いてチーズと大葉を挟み、パン粉焼きにし、のりたまをかけたごはんの上に置いただけの病人食だが、ここのポイントは、フライを食べたいと思うほど、身体は元気になりつつある、ということである。
身体があたたまるので、レンコン汁、を今日も作った。
肉は入ってないが、味噌味にしてみた。微かに片栗粉をいれることで、いつまでも温かく食べることができる。
風邪ひとつでも、こんなにたくさんのことを考えないとならないのだから、長生きをするのも、執念とエネルギーがいる。
生きているかぎり、病気にもなるだろうし、今は元気な三四郎ともいつかは別れないとならないだろうし、息子がどうなるかもあるし、この世界の様々な問題も含め、全部を抱えては生きられないから、ぼくは、きっと、ノルマンディを選んだのだと思う。
そこで、小説を書いて、そこでカンバスを染めていくのだろう。
明日、か、明後日、息子がカフェで会おう、と言ってきた。
「パパ、体力のつく、おいしいものを食べないとダメだよ」
※ 廊下のスペースをつかってマット運動をしはじめた。恢復傾向にある。天井が、美しかった。あはは。
※ グロッグ、というのみもの。身体が冷えて震える時に、父ちゃんは、ラムとレモンをお湯で割って、寝ます。他の方にはあまりお勧めしませんが、フランス人は風邪になるとこれを飲みます。あはは。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
寝込んでいますが、リモートで会議などには参加しているのです。生きていかないとならないので、どんな時もやっぱり、仕事はしています。でも、やるべきことがある、と思うと活力がおきるので、仕事によって恢復は誘れます。寝ている間に、エッセイ集のゲラを再読し、編集の大島さんにメッセージを返したりしています。寝転んでいても仕事ができる、小説家、でよかった。あはは。
という大風邪作家の父ちゃんですが、文章教室を再開します。毎月ではないですが、気まぐれで、エッセイなどの上達を目指す皆さんに、おすすめな教室です。文章って、ちょっと、アドバイスをもらうと、意外に上達するものなのです。でも、そのちょっとしたことに気づかせてくれる人が必要ですよ。それ、父ちゃん先生の仕事です。あはは。
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それから、地下アイドルを目指す父ちゃんがうちうちでDJをやっている、ラジオツジビル、こちらは、大幅な値下げの新プランで、笑、身近になりましたよ。
コンサートツアーは最後になりますが、ラジオで会いましょう。
ツジビル村営放送、ラジオ・ツジビルに関しては、こちらから・・・。
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