2023年3月9日の記事を編集して再掲載しています。
ひと昔前では考えられないほど、衛星打ち上げのニュースを頻繁に耳にする今日この頃。地球周辺を飛ぶ衛星の数は増加していますが、それによって宇宙観測業界は頭を悩ませているようです。…衛星がね、写り込むのよ。
天文画像に爪痕を残す衛星たち
美しい宇宙画像を次々と撮影しているハッブル宇宙望遠鏡は、地球の周回軌道を飛んでいます。
地球の周りを飛んでいるのはハッブルだけではなく、低軌道上に何千という衛星が90分間で1周というペースで飛んでいます。で、この衛星が観測の妨げになっていると。特にStarlinkやOneWebの衛生群がやっかいで、天文画像に横線引っ張ったような跡を残してしまうのです。
これが、科学者たちが「天文学の存在を揺らがせる脅威」と断言するほどの大事態に。
増え続ける画像への写り込み
ドイツのマックス・プランク地球外物理学研究所、Sandor Kruk氏のチームがハッブル宇宙望遠鏡画像と衛星の写り込みに関する調査を実施。ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した10万枚の画像を、1万人の市民科学者の協力を得てチェックしました。惑星などの自然現象ではなく、衛星の写り込みかどうかを見分けるトレーニングをしたディープラーニングアルゴリズムも活用されました。
その結果、2009年から2020年に撮影されたハッブル画像の3.7%に衛星の写り込みが発生。2021年には5.9%に増加したことがわかりました。Kruk氏は以下のようにコメントしています。
人工衛星の数が増加する今、ハッブル宇宙望遠鏡の画像への衛星写り込みはこれから10年でさらに増えるだろう。今後より深い研究やモニタリングが必要になる
が、この調査自体は2021年に終了。すでに時間が経った今、衛星増加でハッブル画像への写り込みが悪化していることは間違いありません。
天文学自体にも大きな影響が
ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのJonathan McDowell氏は、ニューヨーク・タイムズの取材に次のようにコメント。
この問題を抱え続けることになれば、天文学は大きな影響を受けるでしょう。できなくなったり、コストが大幅にアップしたりする科学活動もでてくるでしょう。見逃してしまうモノも出てくるかもしれません
フィルタリングなどの技術を活用して、衛星写り込み画像をなんとかすることは可能。NASAいわく、衛星が写り込んではいるものの、その多くは調査に活用可能だといいます。ただ、写り込みのせいで今まで必要なかったコストや時間がかかってしまうのは理想的とは言い難く…。
現状をなんとかしようと、天文学者らは国連に嘆願書を提出する一方で、画像に写り込みにくい反射の少ない素材を使ってもらうなど衛星メーカーにも働きかけています。実際、SpaceXは、反射を減らすため黒いペイントを活用するなどあれこれ試し中。また、Starlink衛星はハッブルの飛行高度よりも上を飛んでいることから、ハッブルの高度自体を上げるという計画もNASAとSpaceX間で検討されています。
2024-05-26 07:35:00Z
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