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Wednesday, September 30, 2020

ひょうご経済+|【NEXT】経済|開発どうやって?初の国産「手術支援ロボ」 川重とシスメックス - 神戸新聞

手術支援ロボットの開発に協力した藤澤正人・神戸大大学院医学研究科長(右)とメディカロイドの田中博文副社長=神戸市中央区港島南町1

手術支援ロボットの開発に協力した藤澤正人・神戸大大学院医学研究科長(右)とメディカロイドの田中博文副社長=神戸市中央区港島南町1

アームの先に付けた手術器具と内視鏡を患者の腹に開けた穴へ差し込んで行うヒノトリによる手術のイメージ(メディカロイド提供)

アームの先に付けた手術器具と内視鏡を患者の腹に開けた穴へ差し込んで行うヒノトリによる手術のイメージ(メディカロイド提供)

医師は内視鏡映像を見ながら器具を操る(メディカロイド提供)

医師は内視鏡映像を見ながら器具を操る(メディカロイド提供)

 2020年は、のちに日本の「手術支援ロボット元年」と呼ばれるのだろうか。米国の独壇場だった市場に、日本勢が初めて実機を投入することになった。川崎重工業とシスメックスの共同開発ロボ「hinotori(ヒノトリ)」が、厚生労働省の製造販売承認を受け、11月にも販売される。医療機器の輸入超過額が年間1兆円に上る中、「メイド・イン・ジャパン」の支援ロボは出色の存在といえる。国産による低価格と高性能を武器に、米国勢を脅かす存在となるか。開発から完成、販売までの軌跡を追った。(長尾亮太)

 アームの先に装着した手術器具と内視鏡が、患者の腹に開けた穴に差し込まれる。医師が内視鏡映像を見ながらアームを操り、狭い体内空間でも執刀しやすくしたのが支援ロボだ。人間の手よりも精緻かつ自由に器具を動かせる仕組みにより、傷や出血が少なく、患者の身体に優しい手術を支える。医師は患者から離れた場所で手術できるようになった。

 支援ロボはもともと、戦場で負傷した兵士がすぐに遠隔地の医師による治療を受けられるように-との目的で米軍が開発を進めた。その技術を民生分野に転用し、1999年に米インテュイティブサージカル社が製品化した「ダビンチ」が現在、世界市場を一手に押さえている。

 日本は、支援ロボを含む医療機器を輸入品に依存してきた。国内企業が、人命を扱う機器につきまとうリスクを避けたがり、機器の開発で医療現場のニーズを反映させる難しさもあったからだ。

 そんな中、川重とシスメックスは2013年に折半出資でメディカロイド(神戸市中央区)を設立し、初の国産化に乗り出した。血液検査機器製造のシスメックスと違い、川重は医療分野になじみがなかった。ただ、品質が厳しく問われる航空機部品や二輪車を手掛けてきた歴史がある。「人命を預かるのは飛行機もバイクも同じ」(川重幹部)として開発に踏み切った。

■顧客視点

 ヒノトリの基礎は川重の産業用ロボだ。68年に米企業と技術提携を結んで以来、自動車ボディーの溶接工程などに導入されてきた。「顧客ニーズをもとに造り込むのが私たちの遺伝子」(川重の橋本康彦社長)といい、限られた空間で多くの溶接作業を行うなど、自動車メーカーの要望に応えてきた。

 支援ロボの開発で、医療現場の声を伝えたのは神戸大などの医師たちだった。神大では10年にダビンチを導入した際、1台3億円以上の本体購入コストに、年間2千万円近い維持費がのしかかった。「日本のメーカーでも造れるはず」。そんな思いを募らせていた藤澤正人・神大大学院医学研究科長は、メディカロイドの開発に進んで協力した。

 15年から年1回のペースで試作機を造り、医師たちの評価を受けた。当初は動くだけで喜んでいた医師も製品化が現実味を帯びるにつれて「本当に臨床で使えるのか」と、厳しく注文をつけるようになった。

 「手元で重力を感じず、ふわふわと操作したい」。医師の感覚に基づく表現を聞き取り、実際のアームの制御にどう反映させるのかに、エンジニアたちは腐心した。「重さを感じなくするのでも、10グラム分なのか、100グラム分なのかで異なる。数字に換算するのが難しかった」(メディカロイドの田中博文副社長)。使い勝手の評価を受ける機会をできるだけ増やし、医師と同じ目線で見られるように努めた。

 「産業用ロボとは造り方のプリンシプル(原則)が違うため、その違いを乗り越えなければならなかった」と、川重の橋本社長は振り返る。工場では不良品を出さないため、産業用ロボに不具合が起きると直ちに停止させるのが鉄則。しかし、生身の人間を相手にする手術は、いったん執刀を始めると支援ロボを途中で止められない。不具合が生じても、支援ロボを動かしながら対処する必要がある。

■進化するロボ

 このためヒノトリは、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」の技術に支えられている。ロボ本体がネットでサービス拠点と直結。手術中の内視鏡画面やロボの状態をサービス要員も把握しており、ロボに不具合が発生すれば医師はすぐに解決策の助言を受けられる。

 今後は蓄積した手術データを活用し、ベテラン医師の技能を若手に伝承する計画だ。将来は第5世代(5G)移動通信システムで、医師がいない過疎地でも遠隔手術ができるようにするほか、ロボによる手術の自動化も目指す。藤澤教授は「手術器具の形状など、医師の声に耳を傾けてもらえるのが、輸入品と国産機との大きな違い」と指摘する。

 「進化し続けるロボ」をコンセプトに掲げ、今後の開発にも余念がないメディカロイド。田中副社長は「現場の声を反映させ、かゆいところに手が届く製品を届けたい」と強調する。ダビンチが席巻してきた市場に、ヒノトリは一石を投じられるのか。価格低下や性能アップを通して、国内外の病院が導入しやすくできるかどうかが、鍵を握る。

【手術支援ロボット】執刀医の手の動きを再現し、内視鏡手術を助けるロボット。国内では2012年の前立腺がん手術を端緒に保険適用の種類が増え、支援ロボ市場の急拡大が見込まれる。メディカロイドのヒノトリはまず泌尿器科の手術で使われ、婦人科や消化器科、呼吸器科にも広げたい考えだ。同社は海外販売に向けて米国と欧州に現地法人を設け、アジア市場での販売にも力を入れる方針。

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