北朝鮮による拉致問題は、被害者の親が相次いでこの世を去るなか、解決の糸口が見えない状況が続いています。
すべての被害者の一刻も早い帰国をどうやって実現するのか、政府の具体的かつ戦略的な取り組みが求められる1年になります。
北朝鮮による拉致被害者をめぐっては、去年、有本恵子さんの母親の嘉代子さんと横田めぐみさんの父親の滋さんが相次いでこの世を去りました。
健在な親は、恵子さんの父親の有本明弘さん(92)とめぐみさんの母親の横田早紀江さん(84)の2人だけです。
菅政権となってからも、政府は拉致問題を最重要課題と位置づけ、あらゆるチャンスを逃すことなく問題の解決にあたるとしていますが、その糸口は見えない状況が続いています。
一方、北朝鮮は国際社会の制裁に加え、新型コロナウイルスの感染拡大や水害の影響で経済が打撃を受けていると指摘されていて、今月、5年ぶりとなる朝鮮労働党大会を開催し、新たな経済計画を示す見通しです。
被害者家族からは、北朝鮮が置かれた状況を詳しく分析したうえで、北朝鮮にとってメリットのある条件を提示し、キム・ジョンウン委員長の決断を促すべきだという声も聞かれます。
被害者、そして家族が高齢化し、政府自身が「拉致問題の解決にはもはや一刻の猶予もない」と認めるなか、すべての被害者の一刻も早い帰国をどうやって実現するのか、政府の具体的かつ戦略的な取り組みが求められる1年になります。
【飯塚繁雄代表「解決へ日程表を」】
拉致被害者の家族会代表で田口八重子さんの兄の飯塚繁雄さん(82)は、NHKのインタビューに対し、「去年は新型コロナウイルスの影響で救出活動が思うようにできず、非常にじれったさを感じた。何か動きが出るのではないかと注視していたが、具体的な動きが見えず、残念な1年だった」と振り返ったうえで、「なぜ事態が動かないのかということに被害者はもはや落ち込むという段階ではなく、怒りに変わっている」と話しました。
そして、有本嘉代子さんと横田滋さんが相次いで亡くなったことについて「何もしなければ家族が歳をとり、被害者に会えないまま亡くなるのは当たり前だ。被害者が帰ってきたときに家族が誰も残っていなかったらどれほどの悲劇か。私もことし83歳になるが、妹を元気に迎えられないのではないかという焦りをひしひしと感じている」と語りました。
そのうえで、日本政府に対しては「議論をしている場合ではなく、大事なのはいつまでに何をやるかだ。菅総理大臣にはリーダーシップをもって方針を打ち出し、解決に向けた日程表をはっきり書ける段階にまで事態を進め、なんとしても具体的な動きを見せてほしい。他の国に頼り、待っていてはだめで、日本政府が主導権をとり、責任を持って取り組んでもらいたい」と話し、主体的な取り組みによって目に見える具体的な成果を出すことを強く求めました。
そして、「これまで長い間、飛行機のタラップの下で被害者が家族と抱き合う姿を夢見てきたが、夢ではなく現実にしてほしい」と、すべての被害者の1日も早い帰国、そして家族との再会を願う強い思いを語りました。
からの記事と詳細 ( 拉致問題解決 問われる1年に|NHK 首都圏のニュース - NHK NEWS WEB )
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