岩手県内でクマの出没が相次いでいる。2日早朝には奥州市の住宅街でクマによって高齢者がひっかかれ、コインランドリーのガラスが割られたほか、雫石町では同日、牛舎が荒らされる被害も発生した。目撃件数や人的被害は、いずれも過去最多だった昨年を下回っているが、専門家は「いつ人里に現れてもおかしくない」と注意を呼びかけている。(冨田駿、坂本俊太郎)
「あまりこの付近でクマの被害は聞かないので、びっくりした。自分の店だったらと思うとすごく怖い」
2日午前5時40分頃、コインランドリーのガラスを割る成獣のクマが目撃された奥州市水沢台町。隣にあるラーメン店の50歳代の男性店主は、驚きを隠せなかった。現場は国道343号沿いの住宅街で、飲食店やドラッグストアも並ぶ。コインランドリーのマットを週に何度か取り換えに来るという男性作業員も「いつも来ている店だからびっくりした。ただただ怖い」と話していた。また、コインランドリーの向かいではほぼ同時刻、散歩中だった男性(85)がクマに襲われ、背中をひっかかれる被害も発生した。
雫石町上野松嶺の農業男性(42)が所有する牛舎でも同日早朝、先月31日に続き、クマが出没した。盛岡西署によると、31日夜、成獣とみられるクマが牛用の飼料を食べているのが発見されていたが、2日は牛舎内で飼料を食べる子グマが目撃された。
このほか、1日には一関市厳美町で作業小屋の保冷庫にあった米がクマに食べられる被害が確認されたほか、西和賀町では8月30日早朝、錦秋湖畔公園を散歩していた高齢男性が右腕をかまれ負傷した。
県によると、県内でのクマの目撃件数は2018年度以降、3年連続で増加し、昨年度は過去最多の3316件となった。クマにかまれるなどの人的被害も29人となり、同様に最多を記録した。一方、今年は7月末現在で目撃件数・人的被害ともに昨年度を下回っており、おおむね過去5年の平均ペースで推移している。ただ、クマのエサとなるブナの実は今年も不作になる見込みで、県自然保護課は秋に人里での出没が増える可能性もあるとみている。
岩手大の青井俊樹名誉教授(野生動物管理学)によると、近年は過疎化で手入れされない山が増え、人里近くでもクマの生息に適する環境が整ってきたという。青井名誉教授は「山奥でなくても集落の近くでいつクマと遭遇してもおかしくない状況にある」と警鐘を鳴らす。
クマへの備えとして、青井名誉教授は、山に入る際にラジオや鈴を携帯し、遭遇してしまったらすぐに逃げることを推奨する。もし近くで遭遇してしまった場合は、クマの目を見つめたまま後ずさりして逃げ、迫ってきた場合はクマよけスプレーが有効だという。それでも襲われそうになった場合は「致命傷を防ぐため、手で頭などの大事な部分を守ってほしい」と話している。
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