■収まるものも…
市議会3月定例会中の17日に開かれた新産業廃棄物最終処分場整備調査特別委員会(佐藤三夫委員長)。委員からは説明員として出席した県側に対し、厳しい声が相次いだ。
「地域振興策は基本計画と同時に示すのが本来の姿だ。(6日の)市民報告会の資料には跡地利用の説明はあっても、地域振興の文言は入っていない」。青木俊一副委員長は語気を強めた。
委員全体の思いをくみ取り、佐藤委員長は特別委として地域振興策の早期提示を要望。計画の日程自体にも影響が出かねないと指摘し、県に迫った。
「振興策をはっきりさせないと、期日までに収まるものも収まらないこともあり得る」
市と協議すると繰り返す県資源循環推進課の池田正明課長は提示時期に言及せず、「まだ具体的な動きにつながっていない」と苦しい説明に終始。「今後、しっかり進めていく」と述べるにとどまった。
■迷惑施設だから…
市側が不満を抱くのは、県が特別委や住民説明会で地域振興事業に積極的に取り組む考えを示してきたためだ。
受け入れ容認の方向性をまとめた昨年6月16日の特別委で、県の決意を促された矢口和博県民生活環境部長(当時、3月末で定年退職)は力を込めた。
「地域振興策を実行し、住民により住みやすくなったと思ってもらい、地域と共生できる公共型処分場にしていく」
だが、県は昨秋からの半年間、基本計画の策定に注力。地域の振興につながる還元策の姿を示せずに時間だけが経過した。
県は「喜ばれない施設と承知している」(資源循環推進課)と処分場を位置付ける。それだけに、市側からすれば、相応の還元策は欠かせない要素だ。
「迷惑施設であるのは間違いない。やってもらえることは県の予算で全てやってもらう」。ベテラン市議は強調する。
現時点では県、市、処分場の整備と運営を担う県環境保全事業団の3者による協議会を設けることが決まっているにすぎない。
■ふたを開けたら…
「処分場はどこかに必要だ。循環型社会を日立市が担っていく」。小川春樹市長は昨年8月5日、受け入れを表明。受諾を県に伝えた際、施設の安全対策や周辺の環境保全対策などとともに、地域振興策の「確実な実施」を求め、知事と市長が確認書を交わすことを条件とした。
これまで、処分場予定地近くを流れる鮎川の護岸や諏訪梅林公園、大平田地区の上下水道、かみすわ山荘周辺などの整備、狭い道路の改良など、特別委や地元からさまざまな要望が出され、県も前向きな姿勢を示してきた。
地域振興策を含めた確認書を巡って、県と市で話し合いは続けられているが、実施主体や予算などの大枠で一致に至っていない。市は県が中身を提示するのが筋と力説し、「ふたを開けたら『何だ、この程度か』とならないように」と県の出方を見極める考えだ。
「県からの働きかけが遅れているとの認識を持っている」。3月24日の定例会見で、小川市長は地域振興策が停滞しているとの考えをにじませた。
基本計画策定など処分場本体整備に向けた動きは着々と進む。こうした現状について、市は「理解を示した市民が地域振興はどうなっているのかと不満を持つのが怖い」と懸念し、一つの正念場との見方を示した。市側は「この数カ月間が本当に大事。集中的な協議が必要だ」と話す。
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