<イスラム国最高指導者バグダディの自爆につながった米軍の作戦は「ケーラ・ミュラー」と名付けられていた。それはISの性奴隷にされ死亡したアメリカ人援助活動家の名前だ>
国家安全保障担当補佐官ロバート・オブライエンは10月27日、過激派組織イスラム国(IS)の最高指導者アブ・バクル・アル・バグダディの死につながったアメリカの軍事作戦は「ケーラ・ミュラー」作戦と名付けられたことを発表した。ケーラ・ミュラーとは、ISに15カ月間拘束されて死亡した女性援助活動家の名前だ。
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ミュラーはアリゾナ州プレスコット出身で、人道支援活動に従事していた。2013年8月、国境なき医師団が運営する現地の病院を訪問するためにトルコからシリアの都市アレッポに向かった後、ISに誘拐された。拘束されたまま各地を移動させられ、その後バグダディに拷問され、性的に虐待されたという。ミュラーがISに拘束されている間に死亡したことは2015年に確認されたが、遺体はまだ回収されていない。
ミュラーはISの拠点だったシリアの都市ラッカで、有志連合に参加するヨルダンの空爆によって死亡したとIS は主張する。ヨルダン政府とホワイトハウスは、ISの説明には根拠がないと反論している。ミュラーは26歳だった。
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バグダディみずからが関与
「この男が何をしたか?ケーラを誘拐したんだ」と、ケーラの父親カール・ミュラーは、バグダディの死のニュースを受けて、アリゾナの地元紙に語った。「ケーラは各地の監獄に入れられた。独房に監禁され、拷問された。脅されて、最終的にはバグダディ自身にレイプされた。」
「バグダディはケーラをみずから殺したか、死に加担した。親としてはどう感じるべきか、この記事を読んだ人はぜひ考えてみてほしい」
ISの性奴隷にされた援助ワーカー、ミュラー
ミュラーは12年以来、トルコ南部のシリア難民を支援していた。国際援助機関「ライフ・トゥー・サポート」で働いていたが、アレッポへの旅は勤務とは関係なかったと伝えられた。
ミュラーは誘拐される前日、恋人と言われるシリア人男性と共にシリアに入国した。この男性は国際的な慈善団体でインターネット接続の仕事を請け負っていた。シリアに到着したとき、2人はシリアが国際支援活動家の立ち入り禁止政策を打ち出したことを知り、動揺した。車でトルコに戻ろうとしたが、待ち伏せされた。ミュラーとシリア人男性は誘拐された。男性はのちに解放された。
米ABCニュースによれば、ミュラーはキリスト教徒として希望を失うことなく、拘束中も信仰を守った。同じ監房にいたISの人質4人はABCのニュース番組で、彼女の勇気ある態度に励まされたと語った。
2019-10-30 07:15:00Z
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/-is-2.php
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